この曲のテーマは、刹那的な不倫愛への愉楽、ないし許されない愛の反射的極限感情と言ってもいいが、作詞した森雪之丞(作詞家)によると「人間の『きれいな気持ち』を描こうとする時、イレギュラーな設定の方が伝えやすい場合がある」ということだ。しかし、わざわざそんな解説はいらない、興ざめである。

作詞家は、陳腐な解説はしないほうがいい、聴き手に解釈はゆだねるべきだ。

雪之丞は、いい感性を用いてもっているのだから。

 

POISON     歌:布袋寅泰

 

                                     作詞:森雪之丞    作曲:布袋寅泰
Baby…  銀の指輪で
12時の針に手錠を掛けろ
時間を 止めた時から
物語の扉が開く

二人の出逢いが 遅すぎて
悲劇を招くとしても
愛しあうほかに何が 出来るのだろう

Baby…  死んでいたのさ
おまえの瞳に恋するまでは
痛みも ときめきもなく
時の砂にただ埋もれてた

おまえの涙が 乾くなら
愛しい罪を犯そう
孤独で張り裂けそうな身体 闇に燃やして

接吻でそそぐ せつなさは  ※注)そそぐ は、雪ぐ 
二人だけの夜を今日も狂わせる POISON(毒薬)
抱きしめるたびに 怖くなる
溢れだした愛が おまえ壊しそうで

……

 

森雪之丞の詞が冴えている

。また、楽曲、布袋の歌い方、なかのギターリフの唸るような重厚感もいい。

森雪之丞は、かつて時代を逆なでするようないい詞を書いていた。

たとえば、「ナイナイシックスティーン」(シブがき隊)では、「ジタバタするなよ 世紀末がくるぜ」がいい。

「聖飢魔Ⅱの閣下がくるわけではないぞよ」、念のため。

 

 

最近は、秋元康が作詞業界で、独占禁止法違反状態という印象ではあるが、児玉雨子という面白い言語感覚の若い作詞家(まだ20代らしい。本業は別にあるようだが、つばきファクトリー「低温火傷」なんかがいい。近田春夫に詞を提供したりもしている)も出てきている。

職業作詞家が少なくなったなかで、水野良樹のような若手の作詞・作曲する職業(プロの)ソングライターが出てきてほしい。

昔の、浜口庫之助や、佐々木勉、最近では、伊藤薫、などではなく、注文に応じて作ることができる橋本淳+筒美京平コンビのように。

 

                            【ひうち・なだ】