「TVの国からキラキラ」は、「センチメンタルジャーニー」で16歳デビューした、松本伊代のたしか第2弾だったように思う。

どちらも、筒美京平の作曲だった。デビュー曲の作詞は、湯川れい子だったが、第2弾は、糸井重里だった。

このころ、糸井は、コピーライターとしてもブレイクし、沢田研二の「TOKIO」などでもヒットを飛ばす作詞家だった。

やはり、この時代の寵児だけあって、作詞アイディアが光っていた。

 

ただ、本人が、当時を述懐して「あの当時は、どこららも、『ヒットチャート1番の曲を』と言われ、閉口した」と言っていたが、「この『TVの国からキラキラ』は、自分でも納得した曲で、筒美さんとは5分ほど、スタジオの隅で打ちあわせした程度」と語っている。

 

では、歌詞を紹介しよう。

 

松本伊代 - TVの国からキラキラ   (1982)

 

アルバムは「オンリー・セブンティーン」

 作詞: 糸井重里/作曲: 筒美京平/編曲: 鷺巣詩郎

 

ねえ こんなの信じていいの

ああ わたしは嘘だと思う

古い少女マンガの まるでヒロインみたい

いつも夢みていた あのひとが

わたしのこと好きらしいのよ

 

夜空の星もキラキラ わたしの瞳キラキラ

お花いっぱいフワフワ 飛んでいるわ

見つめられたらキラキラ 彼の瞳もキラキラ

見つめかえせばドキドキ どうなるかしら?

 

ねえ 神様 冗談ですか

ああ 夢ならさめずにいてよ

だけど少女マンガは いつもハッピーエンド

たぶん夕陽のなか あのひとが わたしのこと抱きしめるでしょう

 

涙おちてもキラキラ 思い出になるキラキラ

街の景色もキラキラ 輝いてる

彼の微笑みキラキラ まぶしいくらいキラキラ

わたしの瞳キラキラ もう もどれない

 

  「ねえ 君ってキラキラ」

 

ともだちの顔キラキラ 先生の顔キラキラ

カンニングさえサラサラ なんだかヘン 黒板までもキラキラ

恋の光でキラキラ なにもかもがキラキラ

 

もう もどれない

 

糸井は、この詞で、寺山修司的な街頭を次々と場所をかえて、演劇する感じを出したかった、と語っている。

たしかに、後半の「ねえ 君ってキラキラ」という語りのあとに、転回は、音も詞も、シュールかつ眩暈のようにワープしてゆく感じだ。

この新鮮さは、歌謡ポップスの詞に過度な作詞家の物語を予め構築しないという、余白の作詞をする。すなわち、オーディオエンスに感じて解釈ししもらう詞が不思議感を持続させやすいということだ。

それは、こんにちの、J-popにも依然あてはまるのではないだろうか。

 

                                        【ひうち・なだ】