編曲家・森岡賢一郎さんのことを調べているうちに、内山田洋とクールファイブの結成10周年記念にリリースした「さよならの彼方へ」に行き当たった。この曲は、詞、曲、編曲すべてよい、と改めて思った。

前川清ソロ版の編曲は、森岡賢一郎さんらしい。

原曲アレンジもそうだが、国際線ジェットが飛び立つ雰囲気が、間奏などに出ていてよい―― 哀愁のブラスとストリングスの世界だ。

原曲のコーラスの入れ方、コーラスアレンジもよい。

 

では、曲(前川ソロ)を紹介しよう。

 

さようならの彼方へ  ――前川清 版 (原曲: 内山田洋とクールファイブ)

 

振り返れば 翼の下で町の灯が 揺れて燃える 

この国をあとに 他国の人に まわり囲まれて

夜の国際線で ただひとり飛び立つの

愛に 愛に 傷ついたふたりが 同じ場所に 住んじゃいけない

あなたの とめるその声が 指でふさぐ

耳にしのび込む I'll never fall in love again

 

ひとくちすする 熱い珈琲の 湯気が形をつくる 

想い出のひとこまを 二度と二度と 逢うこともないでしょう

遥か下で 送るあなたに 今更 のぞくこの窓に 泣いてゆがむ 

顔がうつってる  I'll never fall in love again

 

別れたあとは 他人なんて嘘

肌を重ねた過去は いつまでもつきまとう

愛を 愛を 失った女は 消える他に 術がないのよ

あなたの 夢に目覚めれば 空が赤い 

やがて日が変わる  I'll never fall in love again

 

――作詞 千家和也 作曲 筒美京平 編曲 森岡賢一郎(カラオケ版)  1978

 

 

デビュー10周年記念シングル 1978年5月25日発表当時の原曲ではなく、前川清で再発されたオリジナルカラオケ版だが、原曲のアレンジは高田弘(原曲にほぼ忠実/原曲は最後にジェット音が重ねられてたと思われる) だ。

稀代のメロディーメーカー筒美京平が彼らに送った唯一のシングルでありムード歌謡自体に作曲したのはブルーコメッツの「さよならの後で」以降では珍しいといえる。しかし、これはムード歌謡の域を超えている。間奏は、バリー・ホワイト&ラブ・アンリミテッド「愛のテーマ」を彷彿とさせる、ソフィスティケートされアーバンなテイストさえある。

哀愁を帯びたトランペットとストリングスが冴える名曲だと、あらためて思った。

 

                                 【ひうちくん】