青空に絶望――ランダム俳句45句

 

人類を雑煮して食う宇宙人

逃げ恥にムズキュンしてる間に正月

冬青空傘さしてゆく去年今年

時雨るるも傘ささずゆく去年今年

はつはるの水に家族の流れゆく

めでたきは上流階級きみが春

はつはるや秘のみず火の手に掬いあぐ

「ユートピア」ディスっていたら神ってた

清水に坂あり傘なし初明かり

青空に絶望ゆきわたる元旦

臭気満つ淑気に充ちつひとは死す

初明かり未証明なる証明解

せりなずな見かけぬ野道に歩道橋

雑煮食う女子を狙ってヤリ手婆

誤解から薬物入れて松竹梅

新春や八坂の裏にラブホテル

初日の出や坂の下から出る気配

幸福がまだ歩けない仏の座

初梅や「思いのまま」をはじき散る

賀状書くバカふまじめに書き初める

河原町広小路下ル荒神松

「好き」搾取千両万両飾るひと

「初七日」と七日に届く年賀状

数の子をなんども食べる和子の子

初夢に呪われ回りつづけ独楽

白色は冬季限定水清め

芹薺艸かんむりをサササササ

芹を噛む水のあとさき苦くして

去年今年金ガ信念神ダノミ

エナメルメル小股の好きな赤ブーツ

銀ブーツ小股に大股切れ込んで

午後三時水鳥夢を食べ尽くす

姫始め筆を濡らして干したまま

ノルウェイの水から醒めた冬の針

女子会のロングブーツにうさぎ耳

AIに生死の記憶仏の座

ヒマあってカネもある日々浮寝鳥

TPPAPそろばん勘定トニー谷

秘の水を火の手に掬い「はる」と書く

読み初めの水で書かれた物語

新春の刺身包丁刺したまま

姫始め松竹梅の梅にする