名建築を歩く 竹中工務店「久保惣記念美術館」(大阪府) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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名建築シリーズ195

和泉市久保惣記念美術館

 

往訪日:2025年2月22日

所在地:大阪府和泉市内田町3-6-12

開館:10時~17時(月曜休館)

料金:一般500円 高大生300円

アクセス:泉北高速鉄道・和泉中央駅から南海バスで10分

■設計:竹中工務店

■施工:竹中工務店

■竣工:1997年

■第40回BCS賞

 

《本館の意匠を継承した新館入り口》

 

この三日前、僕は異動の内示をうけた。四月には仕事の伝手で大阪万博のオープニング前の建築を内覧すこともできたのに。であれば残されたひと月あまりを美術と建築鑑賞にあてよう。天気などどうでもいい。普段の拘りを捨てて、まず向かった先は和泉市の久保惣記念美術館だった。

 

 

この日の天候は晴れのち曇り。和泉中央駅に降り立つと同時に一本前のバスが過ぎ去っていった…。この駅からのバスは少ない。小走りで30分弱。早めに到着したい僕は走ることにした。だが、途中からは歩道のない狭い車道が続いた。

 

 

間もなく軒瓦のついた白い塀に囲まれた建築が見えてきた。ここかなと窺っていると早出のスタッフが「入り口はもっと先に進んだ右手ですよ」と教えてくれた。

 

 

久保惣株式会社は、初代・久保惣太郎(1893-1928)が1886(明治19)年に創業した綿業を生業とする企業だった。1977年に廃業に至り、三代に亘って蒐集された陶磁器や青銅器、西洋絵画などが建物と敷地込みで和泉市に寄贈され、美術館が五年後に竣工した。

 

 

その後も久保家や関係者から音楽ホール市民ギャラリーなどが追贈され、阪南を代表する文化施設として広く聞こえている。ここだけは絶対に行かねばならなかった。

 

「どんだけお金持ちなん」サル

 

 

向かいに広大な駐車場もある。車での往訪が便利だ。

 

 

ここから2㌔北上した場所にあった大正時代築造の久保惣第二工場の煉瓦。

 

 

バブル崩壊後にこれだけの美術館を建設するとは。和泉市の意気込みを感じた。むくりのついた越屋根が端正な佇まいを演出していた。

 

【フロアマップ】

(説明用に拝借いたしました)

 

エントランスで料金を払う。新館の2室は中国工芸と近代西洋絵画の常設展示(撮影NG)。本館が企画展示室になる。なお茶室・惣庵は残念ながら改修工事中。4月以降にオープンとのことだったが、残念ながらその頃には横浜の人間になっている。

 

 

新館ラウンジ。勾配天井による贅沢な間取り。連続窓には景色が一幅の絵画のようにみえる計算が施されている。

 

 

一度屋外でて新館に向かう。建物は直線配置になっている。

 

 

外から見えていた蔵は1999年に竣工した市民ギャラリー

 

 

先に見える円筒状の建物がEiホール(音楽ホール)。この日はリサイタルがあり、一般見学はできない。

 

 

ギャラリーの狭い通路を過ぎるといよいよ本館が迫ってくる。やはり越屋根のついたむくり屋根でできていた。

 

 

設計・施工は数寄屋建築も得意とする竹中工務店。

 

 

本館ラウンジ。床材がトラバーチンで屋根材が幾分立体的な処が違いといえば違いで新館とほぼ同型。

 

 

展示室内部。スッキリした虚飾のないデザイン。

 

 

冬枯れの庭園の空をちぎれた雲が過ぎ去っていく。心に沁みる眺めだった。

 

 

美術館の敷地内には二つの茶室がある。二代目惣太郎による築造で表千家の不審庵残月亭を模しているそうだ。そのうち惣庵(1937年)は登録有形文化財に指定。通常非公開だ。

 

 

もうひとつの聴泉亭は観ることができた。といいつつ植木が密に茂っていて全貌はいまひとつ(笑)。

 

 

過去の時代には帝冠風だったり、濃厚な意匠性もみられた竹中工務店の和風建築だが、竹中大工工具館しかり、すっきりしたモダンな造りの設計だった。

 

(アート篇に続く)

 

ご訪問ありがとうございました。