サルヒツの酒飲みライフ♪【第262回】
Te to Te 純米吟醸生酒 渡船
製造年月:2024年3月
生産者:浪乃音酒造㈱
所在地:滋賀県大津市
タイプ:純米吟醸生酒
使用米:渡船100%
精米歩合:60%
アルコール:15%
杜氏:中井均氏
販売価格:1,600円(税別)
※特約店・季節限定販売品
※味覚の表現は飽くまで個人的なものです
ひつぞうです。今夜の酒は滋賀県は浪乃音酒造のTe to Te(てとて)。浮御堂で知られる堅田にある家族経営の小さな蔵です。創業は1805(文化2)年。辛口純米酒のええとこどりシリーズも燗向けの旨みのある酒ですが、今回は蔵元の御長男、中井充也さん(30歳)が設計デビューしたニューウェーブ系を頂戴しました。(3月28日賞味)
★ ★ ★
浪乃音酒造といえば“三兄弟の蔵”として知られる。能登杜氏の技を受け継ぎながら、兄弟で蔵元、杜氏、麹屋を分担してきた。そんな家族の絆が生み出すずっしり重い濃厚な酒にはファンも多い。そんななか蔵元の長男充也さんが跡継ぎを決めた。
しかし、酒蔵に生まれながら酒に弱い(実は酒蔵アルアル)充也さんは若い世代にもうける優しい酒質をめざした。こうして生まれたのがTe to Te。まさに世代を超えて手と手を繋ぐ酒。そんなニュースをみて一度飲んでみたいと思った。
「酒蔵の生まれで飲めないのもつらいね」
だから人一倍努力もするんじゃない?
ただ“飲みたい”から“飲める”とは限らない。関東圏で見たことが無かったが、ふとした偶然で取り扱い店を発見。速攻で購入した次第。ラベルデザインはほぼワイン。スペックには使用米の渡船と精米歩合のみ。先入観なしで飲んで欲しいということか。
「たしかにパッと見た感じはワイン」 飲もうぜワインも
小さな気泡がついているが口に含んだときのガス感はない。まずは粕漬けのような濃厚なニュアンス。さすがは浪乃音。軸はぶれないらしい。アルコール感は(15%という数字以上に)控え目。酸も控え目。最初のニュアンス以外は生酒のほろ苦さへ移行。サラサラとして水のように入ってきてフェイドアウト。
「まだ帆立が冷蔵庫にあるんだよにゃ」
じゃ今夜は刺身で。
イクラ、帆立、文旦の柑サラダ
エクストラバージンオリーブオイルが抜群の相性。少し濃口醬油を垂らしてもいい。
三浦半島の生シラス
三浦の特産は野菜とマグロだけではない。おろしたての生姜に採れたて卵を落として醤油で。ウズラの卵も相性抜群。
「痛風持ちには最悪だけどにゃ」
マジか…(実は遺伝的に尿酸値が高い)。
茹でワンタン
砂糖、塩、酢、そして豆板醤でタレを作る。葱は好みで。具は入れすぎずヒレを十分残すと食感のバランスがいい。器は伊勢崎創先生の備前で統一した。
「残ったら翌朝ワンタン雑炊にすゆ」
大丈夫。残らないって。
充也さんは家業を継ぐまで会津の曙酒造で四年間修業している。だからフルーティ系…。しかし、その曙酒造の鈴木孝市さんも少壮の頃に浪乃音酒造で腕を磨いたという。ちょっと驚いた。そうか。天明シリーズの“裏メニュー”のような生酛パワー全開のタイプ。あれは蔵元の気紛れでもなんでもなかったのだ。そんな“手と手”の繋がりをしってちょっと心が温かくなった。
「美味しいものはどこかで繋がっているにゃ」
(おわり)
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