NSW本社ビル
往訪日:2024年1月7日
所在地:東京都渋谷区桜丘町31‐11
開館時間:入館不可(オフィスビル)
アクセス:JR渋谷駅から徒歩7分
■設計:レーモンド設計事務所
■施工:不明
■竣工:1986年
■用途:事務所
《生命体を思わせる曲線構造》
ひつぞうです。松濤美術館からの帰り道のことでした。裏渋谷通りから渋谷駅に向かう道すがら、ちょうど道玄坂上交番前の交差点から玉川通りに眼をやった時、金色に輝くビルが視界に入ったのです。なにか曰くのある建物に違いない。調べてみるとレーモンド設計事務所の作品でした。ということでちょっと寄り道の建築散歩です。
★ ★ ★
ネットで調べてみると、それはNSW(旧社名:日本システムウエア㈱)本社ビルだった。竣工は1986年。まさにバブル到来の直前。よくまあこれだけ凝ったデザインを採用したものだ。と誘い込まれるように近づいていった。
1970年代の映画に出てくる近未来都市のようだ。
社歴を紐解くと1966年創業のシステムインテグレーターとあった。アントニン・レーモンドが亡くなったのは1976年。それから10年後の竣工案件だが、モダニズム建築とは一線を画すデザインだと言える。
この日は休みとあって社員の姿はなかった。仮に出勤日であっても部外者は妄りに近寄ってはいけない。この距離であれば許されるかな。
「充分不審者だよ」 最近いろいろやかましいし
玄関前に円柱型の棟が独立した形で建っている。内部構造を知りたいが、意外にも情報が零れ落ちていない。誰か社員の方とお友達になるしかないが、そんな器用な性格ではない。
「むりむり」
遠くから観たときは金色に輝いてみえたが、それは手前のビルが映りこんでいたからだった。見あげると青空を反射して全く違う印象に。
西村文男《夢追い人》(1989)
黒御影石を彫り込んだパブリックアートも。正面から鑑賞すると向き合う二人の女性のようにも見える。西村文男氏(1948-)は二科会所属の彫刻家らしい。初めて出逢う造形家だった。
総ガラス張り?
見あげた姿が一番美しい。メタリックな質感。凹凸ある帯状の装飾。H・R・ギーガーのそれを髣髴させる。
「だれそれ?」
映画「エイリアン」のクリーチャーデザイナー。
向かいの建物も凝ったデザイン。
と思ったら(やはり)NSW社の電算センターが入居する第二中谷ビルだった。
正面だけで側面は機能主義的な意匠。これがまた好い。
本社ビルと違って金属パネルのカーテンウォール。宇宙船のようだ。
建物の角にフクロウの彫刻。西村文男さんの作品に違いない。フクロウは賢者の象徴。どんなひとたちが働いているのだろう。それもまた少し気になった。
実は同じ玉川通りの少し離れた場所に、もうひとつ奇抜な建物があった。帰りの電車に乗車後、スマホで調べてみると、それもNSW社の南平台開発センターだったと判った。しかし、既に疲れ果てて家に帰りたかった。やはり撮っておくべきだったか。仕方ない。近頃気力が続かない。酒の飲み過ぎだろうか。
「ただの加齢だにゃ」
それはそれでヤダね。
(おわり)
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