サルヒツのグルメ探訪♪【第222回】
うますし
℡)088‐823-7660
カテゴリ:寿司
往訪日:2023年11月23日
所在地:高知県高知市追手筋1‐9‐8
営業時間:(月火定休)
(L)12時~(土日のみ)
(D)18時~22時
アクセス:とさでん・堀詰駅から徒歩2分
駐車場:なし
■8席(カウンターのみ)
■予算:(D)13,000円(税別)+サービス料+酒代
■予約:完全予約制
■カード:可
■オープン:2014年7月
《食べる藝術》
ひつぞうです。高知旅行の最初の夜はオシャレ系の鮨屋にしました。キャッチフレーズは“お鮨と土佐鴨 地酒と自然派ワインの店”。めっちゃよさげ。以下、食道楽日記です。
★ ★ ★
初日は高知市内のリッチモンドホテルに投宿した(※専用駐車場はないので近くの24時間パーキングに停車することになる)。リーズナブルな割りに室内は綺麗でアメニティも充実。今後の常宿に好いかも知れない。というのは帯屋町アーケード街の裏筋は隠れ家系の集積地なのである。
予約の時間になったのでそろそろ支度して出かけることにした。
「あんまり早く行っても」 すぐ近くだよ?
うちって絶対迷うじゃん。
そして迷った。いとも簡単に。
まさかこんなフレンチ風の構えとは思わないし。
「看板も出てないにゃ」
端っこに小さく出ているんだよ。
「まさに隠れ家」
カウンター8席のみで完全予約制。カジュアル系という触れ込みだったが、レベルは十分高そうだ。コースはお任せのみ。
ワインも日本酒も充実している。南が主力みたいだ。悩んでいると「メニューにない銘柄もありますよ」と言われた。これは「特約店銘柄を都度入荷している」というサイン。ならばと冷蔵庫を見せてもらう。
久礼のキリン柄があるではないの。しかも未開栓。これにしよう♪
久礼 キリン柄Giraffe 特別純米酒 生酒
生産者:㈲西岡酒造店
製造年月:2023年10月
所在地:高知県中土佐町
タイプ:特別純米酒 生酒
使用米:愛媛県産松山三井100%
精米歩合:60%
アルコール:18度
定価:1500円(税抜)
松山三井という米は初めて耳にする。なんでも愛媛県のみで生産される食用米。割れにくく大粒に育つので割れにくい。逆に言えば溶けにくい。味はあるが頑固者。人に喩えるなら昔堅気の職人や芸人って感じか。
「うむ。クリーンで渋みもある」
五百万石テイストに近いかな。旨いよ。鮨にあう系統だね。
では前菜から。
山内家伝来の大根角切り
土佐ジローだしの鳴門金時
マスカルポーネ&いぶりがっこ
蛸のうま煮
「この大根ウマいね」
土佐藩主・山内家に伝わると言われる謂われあるこの大根は、牧野富太郎が栽培を推奨したことで知られる。細く捻じ曲がるのが特徴で、サクや輪切りの煮物には向かないが、繊維が柔らかくダシに馴染むという。愛知の方領大根に似ているということから、土佐山内氏が国元・尾張から持ち込んだという説もある。
ここから早速握りだ。
須崎産の石鯛
一週間寝かせたネタを醤油で。全て醤油、塩はすんでいる。そのまま頂戴しよう。
寒ブリ ヌタと併せて
ヌタとは葉ニンニクを刻んだ味噌と酢ベースの郷土の調味料。やや甘口。各家庭で味わいが異なるそうだ。
「道の駅で買って帰る」
大間産 本マグロづけ
贅沢にも大間のマグロをヅケにして、須崎産カラスミを塗して頂戴する。
蛤の赤出汁で箸休め。
「身もプリプリ♪」
カマスは檸檬汁で。皮には備長炭の炙りが気持ち入っている。職人技がさり気なく。
真鯛昆布締め
ここで高知県の御当地姓の話題になった。おサルの旧姓は県外では珍しい。その話をすると全然珍しくないという顔をされた。
「同じクラスにいましたよ」👨
そうなんだ。おサル珍しくないって。
「そっきゃ」 なーんだ
「この店も僕の姓から取ったんです」👨
え?旨い寿司じゃないんだ!
隣りの客も驚いていた。皆そう思うだろう。
「ウマヅメっていいます」👨
え。(なんか深入りしづらくね?その単語)
「馬に詰めると書くんですよ」👨
ああ。(石女じゃないのねと顔を見合わす)
でも十分珍しいね。調べたらトップの高知県でも150人程度だった。おサルの旧姓は8000人弱いるしね。
「負けた…」
対馬の黄金アナゴ
刺身でも食えるという伝説のアナゴを蒸して。
「アナゴを生で食べないのはなぜかの?」
アナゴの血液にはイクシオトキシンという毒素があるんだって。加熱すれば問題ないので普通は生食しない。黄金アナゴは新鮮なうちに血抜きするそうだ。
「めちゃフワトロ!」
まったくクセがないね。旨い。
佐賀のコハダ
スマガツオ
程よく脂が載った旬のヤイト。確かにマグロより旨いかも。身が甘いね。
四方竹 アオリイカ
四角い断面の四方竹は中国伝来の筍。国内では高知の特産品。10月~11月の僅か二箇月しか収穫できない幻の筍なんだ。
「なんか飲もうぜ」
久礼キリン柄をもう二合頂戴した後に銘柄を変えた。
南 純米吟醸 雄町
生産者:㈲南酒造場
製造年月:2023年11月
所在地:高知県安田町
タイプ:純米吟醸
使用米:岡山県産雄町100%
精米歩合:50%
アルコール:17度
定価:1909円(税抜)
高知酵母らしい華やかな甘い香りに、雄町特有のリッチボディが重なる。これまた未開栓。二合カラフェに付着するガスが、清涼な舌触りを予感させる。
「旨いにゃあ!」
シアトル産のグリーンバフン雲丹。北米産を“グリーン”と呼ぶそうな。
そこに店主自ら惜しげなく、四万十あまごのと網走のイクラをミックスしてをこれでもかと。
「アマゴは表面張力がすごいにゃ」
ブチッ、ブチッって食感だね。演出の勝利。
アオリイカ 宮崎キャビア1983を載せて
国産キャビアの超高級ブランド。柑橘の香りが味を締める。
そのうち香ばしい匂いが漂い始めた。
四万十産ウナギの炭火炙り
地域色もきちんと出している。この日の客は僕らを含めて男女の四組。うち三組は県外の観光客だった。隣に座った二十代と思しきカップルは、最近婚約したそうで、祝いの席に選んだ半常連。しかも(さすが高知県民)最初から酒。EXILEの大槻ケンチ氏の影響だろうか。最近、日本酒好きを公言する若い世代が増えたように思う。なんだか嬉しい。
大トロ
108.6㌔を名古屋北部市場で買い取ったもの。
礼文のバフンウニ
軍艦で。ひと口でいこう。
「贅沢なんじゃね」
口直しの芽葱
今年10年目を迎える《うますし》。客筋が荒れるのを嫌って、今の(完全予約制)スタイルに落ち着いた。僕らよりもひと廻り若いくらいの、とても優し気でスタイリッシュな店主はスタッフを置かずに、ひとり厨房で次の作業にかかっていた。
冷製鴨肉を酢飯と一緒に。
「おサルにはヘビーかも」 ワインさえあれば
鴨に合わせて赤ワインをグラスでお任せしたら、キンキンに冷やした開栓済みのヤツが出てきた。これはちょっと…。やっぱり自分で選ぶべきだった。少し油断したかも。
〆は三輪素麺を梅肉と鴨のだしで。繊細だね。
デザートはピーナツ風味のバニラアイス。金粉つき。
これだけの品数で13,000円。贅沢極まりない内容にも関わらず。飲むだけ飲んでご機嫌の僕らを、店主殿が店先まで見送ってくれた。簡単に取れるわけではないが、もし、高知市内に投宿の機会があれば、そして、店選びに迷うことがあれば是非お薦めしたい。そんな優良店だった。
「たまに失敗もするけど今回は大正解だった」
(つづく)
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