サルヒツの酒飲みライフ♪【第193回】
五人娘 純米生原酒 かすみ酒
製造年月:2023年4月
生産者:㈱寺田本家
所在地:千葉県香取郡神崎町
タイプ:純米生原酒(自然酒)
酒母:千葉錦・美山錦 掛米:亀の尾
使用酵母:無添加
精米歩合:70%
アルコール:16.5度
日本酒度:-2
酸度:3.0
アミノ酸度:2.0
販売価格:1,834円(税別)
※特約店販売品・季節限定品
※味覚の表現は飽くまで個人的なものです
ひつぞうです。今夜の酒は千葉の《五人娘》。醸す寺田本家は江戸時代は延宝年間の創業。凡そ350年の伝統ある自然酒作りの酒蔵です。以前から気になっていた五人娘。ようやく頂戴する機会をえました。以下、テイスティングメモです。
★ ★ ★
利根川の最下流を神崎町までくだると、赤煉瓦塀に囲われた建物が現れる。そこが丹波杜氏の伝統を守る自然酒作りの主戦場。24代目蔵元杜氏・寺田優さんの記事を読んで、まず興味を覚えた。寺田さんは元カメラマン。酒造りとは無縁の人生だったそうだ。その後、婿入りして酒造りに目覚める。茨城の結ゆいの浦里美智子さんと似ている(再興を願っています)。
「最初はタイヘンだったろーにゃ」
長い歴史を誇るが、実は先代の代まで三増酒を販売していた。だが、大病は人を変える。一念発起して180度目指すものを変えた。今では珍しくなった山卸、つまり、酛摺りを、複数の蔵人が呼吸を併せて行う。限界まで切り詰めた水分で酛の粘度は想像以上。まさに米を摺る作業は大変な労力が要る。だが、その結果、酵母と(蔵つきの)乳酸菌が絶妙な連鎖で働き始めるのだ。(蔵元情報より抜粋編集)
今回頂戴したのは、季節限定のかすみ酒。造りは純米生原酒。当然、酵母も乳酸菌も添加していない。銘柄《五人娘》は先代と交流のあったアララギ派の歌人、土屋文明による。蔵を訪れた文明の前にわらわら現れた若い娘たちの記憶が元になっている。穢れのなさ。そのイメージが酒質と旨く重なる。
低精白で非加水。濃厚な純米酒を想像してしまう。実際はどうなのだろう。期待が膨らむね。
「瓶内二次発酵するって書いてあるよ」 ダイジョウブ?
恐る恐る開栓してみる。ん?全く無反応だよ。懼れるに足りんかったな。
といった瞬間、隙を狙ったかのように、一拍おいて炭酸が泡を吹いて大逆流!
噴き出すところまでいかなかった。危なかったよ。もしそうなったら泣くに泣けんし。
「料理作ったおサルも悲しい」
でも良い泡つき加減だよ。甘さ控えめで、ひたすらにラムネのいい香り。
「苦みが前面に出てるよ」
そうね。にごり酒の特徴をよりエレガントにした感じ?温度があがると特有の米の甘味が増すね。
「おサルはキンキンに冷やして飲みたい」
「今夜は新玉葱の肉詰めだよ」
にんにくの芽を大葉で包んで一緒に飲むとマリアージュするね。
「モヤシのナムルも食べてにゃ」
初めての五人娘。その名の通り、穢れのない洗練されたにごり酒だった。次回は寺田本家らしい琥珀色した無濾過の生酛純米を頂戴しよう。
「ぜひ!」
生酛苦手でしょ。
「旨い酒は飲む」 ドンとこい!
(おわり)
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