サルヒツの酒飲みライフ♪【第163回】
十三度台九郎右衛門 山恵錦13 2022BY 仕込15号
製造年月:2023年1月
出荷年月:2023年2月
生産者:㈱湯川酒造店
所在地:長野県木曽郡木祖村
タイプ:低アルコール純米生原酒
原料米:長野県産山恵錦100%
使用酵母:非公開
精米歩合:65%
アルコール:14度
杜氏:湯川慎一氏
販売価格:1,630円(税別)
※特約店販売品・季節限定酒
※味覚の表現は飽くまで個人的なものです
ひつぞうです。今夜の酒は信州・木祖の《十六代九郎右衛門》。マニア垂涎の酒ですね。醸す蔵は信州で二番目に歴史のある湯川酒造店。慶安三年(1650年)創業です。ちなみに最古は《川中島幻舞》の酒千蔵野ですね。このふたつの蔵、他にも共通点があって、蔵元もしくは杜氏が女性なのです。そのせいでしょうか。宣伝も旨いし、酒も丁寧な造りで味は極上との触れ込み。期待いっぱいのテイスティングです。
★ ★ ★
ということでようやく手に入れた九郎右衛門である。地元銘柄《木曽路》とは一線を画す、こだわりの特約店銘柄。現当主は16代目の湯川尚子さん。杜氏はご主人・慎一氏。社員数わずか10名の小石高の蔵、言い換えれば酒質にこだわる蔵だ。これは酒好きが高じて酒屋に転身した有名な主の店で購入した(ここまで言えば酒好きにはすぐに判るだろう)。下手なことを言えば返り討ちにあうので、黙って試飲もせずに逃げるように店を出た。
「ビビり過ぎなんじゃね」いろいろ教えてくれたじゃん
センセイ、眼が笑っていないんだよ。
(基本的にシャイで気弱なヒツジなのである)
多くのレパートリーを展開している九郎右衛門のなかで、ビビッドでカラフルな表ラベルが愉しい低アルコールシリーズ、その名も《十三度台》を求めることにした。本当は愛山を買いたかったが、冷蔵庫にあるのは試飲用の四合瓶一本だけだった。
「それは夏に出るシリーズなんです」と店主殿。言葉に厳格だと自らHPで宣言し、迂闊なことを言うとイラつくと明言している。まるで鏡を見ているようだ…。なので口許は強張るばかり。二の句が継げない。そんな素人丸出しの僕を見越して「今出ているのはこれですね」とさりげなく山恵錦13を示した。
山恵錦(さんけいにしき)か。聞いたことがないな。それもそのはず。2020年3月に品種登録されたばかりの長野県産酒造好適米なのだそうだ。
「いつもの御託は並べないのち?」
いいよ。早く帰ろう💦 酒さえ手に入ればこっちのものだ。
長い一日だった。早速開栓。想像したとおりのバナナ、ライチ様の南国的な果実の香りが馥郁と馨る。酢酸イソアミル系の香りだ。最近はカプロン酸エチル系よりも好きなフレーバー。
注いでしばらくするとグラス内面に小さな気泡がつき始める。味はピュアながら力強さを感じる酸。そしてコク。これが13度台の低アルだというから驚き。裏面を見ると「14度を超えちゃいましたm(__)m」と潔くコメントが付されていた。
「それでも14度。すごいにゃ」
ちょっと青っぽく紹興酒のようなクセもある。これで速醸系なんだって。信じられん。
カリフラワーとベーコン
「ま、なにか食いたまえ」酔うにゃ
旨いね。塩加減にくどさがないね。このベーコン。
「牛蒡と人参の豚バラ巻きもあるでー」
バランスいいね。低アルコールの酒には脂控えめな酒肴が合いますね。
「メインはコレ」
なに?まだあるの?
「生食できるブリの刺身でブリしゃぶ!」
おサル自身がこれ食べたかったんでしょ?
「ういうい」判っちゃった?
やっぱり鍋ものにはお酒だね。
「偶には白ワインにしてちょ」
判った。じゃ次回。
低アルらしく(余韻はあるが)後味は水のように消えていく。僅かにソーダっぽい後味が残る。チャレンジ次第で様々なお酒が可能だということが判った。愉しい夜だったね。
「酒屋では大人しいくせに自宅だと無駄に饒舌なんだよにゃ…」メンドウくさいにゃ、ったく
(おわり)
ご訪問ありがとうございます。