旅の思い出「ヴィラデスト ガーデンファーム&ワイナリー」(長野県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー

℡)0268-63-7373

 

往訪日:2021年10月3日

所在地:長野県東御市和6027

営業時間:

(ショップ)10時~17時

(ランチ)11時30分~15時(水曜定休)

※ランチは予約客優先

※12月下旬~3月上旬は冬季休業
 

■駐車場:第一、第二駐車場あり

■見学:(土日祝)13時~/15時~(2回)

※COVID対策のため現在休止

■アクセス:上信越道「東部湯ノ丸IC」から約15分

 

≪まさに遠見(東御)の丘≫ 

 

こんばんは。久々の大きな地震に脅えるひつぞうです。なにかの前触れでなければ良いけれど…。

今夜は赤岳天狗尾根を終えたあとの日記を綴ります。

 

★ ★ ★

 

=赤岳下山のあと=

 

深閑とした闇一色の駐車場に戻ってきた。息が白い。着替えもそこそこに大泉のパノラマの湯に向かった。22時まで営業しているのがありがたい。市民以外は820円と高額なのが玉に瑕だが、地元に還元できると思えば廉いもの。清潔を取り戻した僕らは、小淵沢方面にはおりずに、国道141号を北に向かった。凡そ一時間あまりで佐久市内に入る。新しくできた道の駅ヘルシーテラス佐久南がその日の宿となった。

 

翌朝。佐久平は鉛色の空だった。だが、これは雲海。陽が昇れば青空が広がるだろう。予想はあたり、浅間山の金色に熟れ始めた山肌が遠目に見てとれた。この道の駅は新鮮野菜が充実しているらしい。九時の開店前から行列ができ始め、おサルも慌てて末尾に連なった。期待以上の収穫にほくほく顔のおサル。よかった。昨夕の疲弊した表情を思い出し、判断は間違っていなかったと思った。

 

★ ★ ★

 

その後、東御市の高台、烏帽子岳南麓のとあるワイナリーに向かった。ここが二日目の目的地。エッセイストで画家の玉村豊男さんが開いた農場兼醸造所だった。若い頃の僕は、いわゆる「文学」とは別カテゴリーの、幾人かの物書きを遠巻きに眺めていた。(映画監督になる前の)伊丹十三玉村豊男。どちらも深い教養に支えられながら噫にも出さず、酒、美食、ファッション、映画、芸術、そして恋を語った。興味のベクトルは同じでも経験と熱量が足りない。僕はそんな青年だった。だが、のちに良き伴侶、というかサルを手に入れた。ワインと美食、そして、玉村さんの世界が少しだけ近くなった。

 

東御の高台を詰めてゆく。次第に緑が濃くなり、葡萄畑が広がり始めた。まさに田園だった。道は頼りなくなっていくが、辻ごとにヴィラデストの方角を示す案内が出ていた。

 

 

駐車場には既に数台の車が停車していた。

 

それまで軽井沢に居を構えていた玉村さんは、とある出来事が転機になり、ここ東御に移住することになる。1991年のことである。南に開けた緩斜面からは雄大な北アルプスの峰々が聳え、梓川が肥沃な大地を齎していた。寒暖差があり、降雨量も少ないこの地はブドウ栽培に適した場所として、玉村さんの心を捉えたそうだ。

 

 

当初はハーブ、西洋野菜を中心とした自家菜園としてスタート。その原点がガーデンファームの名として残っている。その後、2003年に醸造所としての免許を取得。今のヴィラデストのワインの歴史が始まる。

 

(メキシカンセージ)

 

コンセプトはテロワール。大地が齎した恵みを料理とワインで愉しむ。そして、この美しい風景のなかで、日常の柵から解き放たれて自由なひと時を味わう。ロハスの思想は得意ではないが、玉村さんの提唱する人生感とヴィラデストの風景は味わいたい。それには青空広がる一日を捧げる必要がある。しかし、天気が良ければ、まずは登山。そんな生活を続けて、往訪の機会は一向に現れなかった。

 

「おサルはこういう所の方が落ちつきゅ~」サル

 

だよね。一日13時間も歩くことないし。

 

 

ポンポン系?

 

(フライングソーサー)

 

朝顔の仲間。うまい命名だね。

 

 

ダリアが見頃だった。

 

★ ★ ★

 

だからいい機会だった。この日はまたとない日本晴れ。

この景色を御覧ください。

 

 

南方に広がる大パノラマ。手前には脅威の低山、独鈷山が角を出し、後背には美ヶ原の稜線が広がっていた。更に右奥に…

 

ズームしてみよう。

 

 

北アルプスの峰々がこんなにくっきりと。穂高連峰と槍ヶ岳。常念岳も。

 

 

葡萄棚もしっかり結実している。

 

 

長閑。

 

 

葡萄畑に行ってみた。ここは赤葡萄の棚。ヴィラデストで栽培されるのは国際品種のみ。

 

 

メルロー。たわわ。

 

 

シャルドネはちょうど摘果中。

 

 

シードルも作られている。

 

★ ★ ★

 

ということでランチの時間になった。

 

 

残念ながら(窓際は)予約でいっぱい。思いつきビジターの僕らは内側の席だった。

 

 

開放的なカフェだ。

 

 

僕らはコースランチ(3,800円)で。

 

 

ナプキンも什器もすべて玉村さんのデザイン。

 

 

折角なので八重原メルロー2019をフルで。もちろん食事の後は三時間ほど寝ることにしている。食事での提供も販売価格そのまま。それでも3300円(税抜き)はいい価格。

 

 

色は鮮やかなガーネット。予想に反してかなり軽い。タンニンも酸も優しい。メルローというよりも国産品種のようなシンプルな果実味を感じた。これが東御の丘のテロワールなのだろう。まあ、セカンド・ヴィンテージだし、セラーで寝かせてみるのも面白いかも知れない。

 

ちょっと残念だったのはグラス。エッジが厚くて全体的にごつい。繊細なワインには向かないような…失礼。

 

 

ワインにはピンチョスがついてくる。

 

 

まずは前菜から。

 

「おサルは“季節の野菜づくし”」サル

 

隠れているけれど水牛のモッツァレッラが惜しげもなく添えられている。

 

 

僕は“キャベツと豆のスープ”

レンズ豆、白いんげんに紅白のキャベツがブイヨンで煮込まれている。

 

 

食材は全て地産品。

 

 

そして主菜は二人とも“本日のシェフのおすすめ料理”。

 

通常プラス1200円の設定なのだが、この日はプラスチャージは不要だと。

 

「だから頼んだのち?」サル

 

いやいや。本当に美味しそうだから。

 

「本当はケチだったのち?」サル

 

違うって。

 

 

ブリブリに詰まった白ソーセージに自家製ベーコン。

それに信州豚のグリルに赤ジャガイモと人参がつく。大満足。

 

 

最後に栗のソースを垂らした信州胡桃のヌガーグラッセ。トッピングも栗。生クリームの風味とナッツの食感がいい。主菜よりもデザートに感動した。まあ、どちらかと問われれば、かなりカジュアルなランチだったかな。

 

「おサルは大満足♪」サル

 

よかった。よかった。

 

 

青空と百花繚乱の庭園。いつまでも見飽きない景色だった。これだけの好天なのに、稜線には終日雲が湧かなかった。東御の里にも秋は確実に訪れようとしていた。とっておきの二本を手に入れた僕らは楽園を後にした。

 

「来てよかったにゃ」サル

 

(おわり)

 

ご訪問ありがとうございます。