≪F5‐7㍍を右から詰める≫
こんばんは。ひつぞうです。今夜もマスキ嵐沢遡行の続きです。もう梅雨明け間近ですね。
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空腹を満たして行動再開。F3の一段目は簡単。
釜を越えて二段目は流心狙い。まともに滝に打たれるのでちょっと冷たい。
「おサルは巻き巻き♪」
苔で滑るから気をつけてね。
その後も2㍍から5㍍の小瀑が連続する。いよいよ核心のF4が見えてきたようだ。
F4(10㍍の逆L字滝)。写真で見る以上に斜度があった。
「ちょっと厭らしいにゃ」
流心左から滝を浴びつつ快適に斜めに突き上げる。念のためロープを出した。
慣れた人ならフリーでひょいひょい。
ここも階段状に昇っていく。
落ち口から見たらこんな感じ。
改めて確認すると急激に落ち込んでいくのが判る。
少し水量が減ってきた。ここがF5かな。
正面からみた構図。落ち口のあたりはやや被り気味。右側から。
川床はつるつるに磨かれているけれど、しっかりした摩擦でキープ。
少しなだらかになってきた。
「たいして難しくないので愉しく登れるにゃ♪」
気温が上昇してきたので時々冷水浴(笑)。
あのテーブル状の岩を越えると二俣があるはずだ。
標高840㍍地点の二俣(2:1)を左へ。
チョックストーンと倒木を越えると水流は更に激減する。
いよいよ顕著な二俣(1:1)。水流は左俣に続いていて右俣は涸れ沢。ケルンが設置されているので進路は右と判る。
暫く無味乾燥な涸れ沢を歩いてゆくと、5㍍の涸れ滝が現れる。これがF6かな。とするとその上に最後の涸れ滝F7が待っているはず。
あーこれね。
まっすぐ登れば解放的な空間が続いているのに、「難所」という先入観で倒木方向右に突き上げてしまった。
「どーしてこんなことになってしまったのち?」
下から見あげると険阻な涸れ滝に見えたわけよ。果敢に攻めたのはいいけれど、花崗岩のスラブの泥沢なので、体重をかけると表面の泥と一緒にずり落ちてしまいそうになる。なんとか無理やり軌道修正したけれど、20分は無駄に時間を費やしたね。
「詰めが甘い!」
文字どおりだった。
最後は藪なしの快適な涸れ沢になる。
ザレザレだけど思いのほか歩きやすい。急で足首に負担が加わるけれど。
もたもたしていたから後続のパーティが追い付いてきた。尾根の上がり口には(御覧のように)ロープが設置してあった。
無事、権現山の登山道にタッチ。ここで靴を履き替えることに。最後のミスリードで泥尾根を這いずり回る羽目になったおサルは全身泥んこ。なので機嫌が悪いのなんのって。
「ムキャー!」
西丹沢には権現山と名のつく山が二つある。麓の地名をとって世附権現山、箒沢権現山と区別される。丹沢ではかなりのマイナーピーク。
10分弱で山頂に着いた。霧が立ち込めているが、上空は晴れているようだ。
山頂標識はなぜかなかった。土管のベンチで行動食を摂って下山することに。時刻は午前10時を回ったところ。下山は1時間もあれば足りる。天気が崩れる前に終えることができそう。
来た道を50㍍ほど戻って、鹿フェンス沿いに左に逸れていく。正規の登山道ではないけれど、沢ヤの皆さんが踏み均した“おかげ”で、明瞭な踏み跡ができていた。マーキングもある。余程注意力散漫にならない限り、道迷いはないだろう。
面白みの乏しい単調な尾根をダイレクトに下っていく。
788㍍ポイントを通過。やや広尾根なので方角を間違えないように。少しずつ尾根は南南東に進路を変える。
尾根は顕著に続いていた。次第に左手からの藤嵐沢の潺が聞こえるようになると、最後に林道にポンと飛び出して終了。ちょうど往路で東海自然歩道と分岐したあたりだった。
ソーダのような美しい流れで、泥んこになったギアや靴を洗った。砂州を見ると犬のものと思われる足跡が複数あった。彼らの仕業だろう。
林道交差箇所からゲートまではものの5分。お疲れ!戻ってみれば車の数も増えていた。
「とっとと帰ってワインが飲みたいにゃ」
=遡行してみての感想=
三大デート沢の異名を誇るマスキ嵐沢。確かに初々しい男女が手を取り合って遡行するのにちょうどいいボリューム。ナメの美景も訪れる者の気持ちを和ませてくれるだろう。一方、滝の登攀についてはホールドやスタンスに苦労しない。加えて藻類のヌメリもなく、水量も控えめ。初心者、ベテランを問わず、沢登りの面白さを満喫できる好ルートだと云える。
【行動時間】 3時間15分+1時間
(おわり)
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