≪芝生広場から瑞牆山を仰ぐ≫
こんばんは。ひつぞうです。今夜も瑞牆山(黒森コース周回)の続きです。
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瑞牆山は変わらず人気の山だった。静けさを求めるならば、30分早く出発すべきだったが、まあいい。絶峰からの景観を遂に得ることができたから。写真を撮ると僕らは足早に山頂を後にした。富士見平からは老若男女を問わず続々と登ってくる。そして、皆笑顔で和気藹藹としている。世知辛い日常を忘れて、他者を労わる心の余裕を取り戻しているようだった。
くだり始めて暫くすると大ヤスリ岩、小ヤスリ岩が迫ってきた。この基部を回り込むようにしてカンマンボロンに至る破線ルートが続いている。これは次回までお預けにしよう。
黒富士、曲岳の眺望がすばらしい。甲府市内から見る“表”の姿とはまた違う優美さがあった。
このあたりから花崗岩の巨大な露岩が積み重なる急峻なルートになる。皆が縦横無尽に昇降した結果、踏み跡は四散して、漫然と歩くと嶮しい隘路や急斜面に入り込んでしまうので注意しよう。
ハイカーのいない一瞬を狙って撮っているので、いつもの寂峰歩きのようだが。
「ときどき渋滞してしまうくらいだったにゃ」
ここ覚えているよ。僕でも通過できる。別ルートもあるのでビッグサイズの人でも大丈夫。
見頃を迎えた石楠花は宝石のようだ。まだ蕾も沢山あるのでこの週末も愉しませてくれそう。
その群落地帯から鎖場が現れる。
登山道が広くなれば桃太郎岩も近い。
「こんな階段あったっけ」
恐らくこの9年の間に設置されたんじゃない?
そして、災害の爪痕が。
「登山道が流されてしまったみたいだにゃ」
標識の退色具合から判断して、ここ数年の集中豪雨にやられたものだろう。
ようやく桃太郎岩。おサルと較べればその巨大さが判るね。
その後、天鳥川を渡渉すると…
小川山に続く尾根まで(短い距離だけど)登ることになる。
「どーして下山なのに登らないといけないのち?」
前回も同じこと云っていたよ。
尾根上で三叉路に。この尾根道は谷沿いのコースに変わり、八丁平まで続いている。
暫く長い巻き道。
金峰山に続く尾根に着いたようだ。ということはこの下が富士見平だ。
懐かしい。
「ビールがあるにゃ」
食事していく?
「ビールはおサルが奢るだよ」
金持ちだね。…ということでランチタイムである。
瑞牆ビール(ピルスナー)と猪肉ソーセージ。濃厚でビールによく合う。最高に旨かった。
若くて綺麗な女性の小屋番さんだった。
食事を終えて食器を返したあと、瑞牆山自然公園を目指した。林道までがちょっとわかりにくい。
「ひつ、またテント場にグルっと戻っていったよにゃ」
なんかね。僕の判断ってあてにしない方がいいね。
「そんなこと、とうの昔に判っているだよ」
みずがき林道をそのまま歩くと瑞牆山荘に降りてしまう。最初の大きなカーブから自然公園に続く登山道が分岐しているので見逃さないように。
ここね。
このルート。一見地味そうに見えるが、実はシャクナゲとミツバツツジの花めぐりのコース。
「すごい。めっちゃ咲いているよ」
ミツバツツジのトンネルも。
どこを取っても絵になる。例年であれば6月上旬から中旬が石楠花のベストシーズンだが(前回の京丸のアカヤシオもそうだったように)開花は一週間から十日早い。今回は狙い通りだった。
花がなくなる頃に三叉路に出くわすので、そこを右に進む。すると、長い下り坂になり…
最後は再び天鳥川を桟橋で渡る。この後は芝生広場を示す分岐が幾つか現れるが、むしろ遠回りになるので林道を目指すこと。
「林道に出た!」
カンマンボロンの裏ルートを目指すならばここに停めるのがベスト。
そこから10分足らずで駐車場に戻ることができた。
「道路まで溢れかえっているにゃ」
やや雲の多い空になってしまったが、この季節だ。これでも充分なくらいだろう。甲府市内まで降りていくと、眩しく太陽が輝いて気温は29度だった。既に真夏の様相。どうなるんだろうね。今年の夏も。
「クーラーのついたお宿でまったりすゆ」
=登ってみての感想=
黒森コースは、静寂と清涼感に満ちた期待通りのトレイルだった。やや荒れているが、それが逆に奥秩父らしさを醸し出していて飽きがこない。少しでも人の少ない山頂を求めるのであれば、午前九時くらいに登頂する計画を立てること。意外に平日でも混雑する。それくらい瑞牆山は人気が高い。一番の目的のアズマシャクナゲは(雨あがりということもあって)花弁の痛みが心配されたが、さすがは当たり年。真紅の矢車が雪洞のように咲き乱れていた。
(おわり)
【行動時間】…3時間10分+2時間20分
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