御坂山塊/鬼ヶ岳~王岳(根場より周回)② | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

≪鬼ヶ岳から見た王岳≫

 

こんばんは。ひつぞうです。今夜も「鬼ヶ岳~王岳縦走」の続きです。

 

★ ★ ★

 

かつて積雪期に山中湖から御正体山を経て都留市内へと縦走した。その時、出逢った若いハイカーから、富士五湖周辺の山が好きでよく通っていると聞かされた。彼は浜松在住だった。そして細身の体型から想像できない脚力があった。どこを切っても金太郎飴的な山など放っておくべきで、君には深南部があるだろう。正直そう思った。

 

今ならば判る。御坂と深南部の魅力はまったく違う。ここの魅力は富士山麓の秀景と変化豊かな縦走路にあった。

 

 

十人程度でいっぱいになる山頂を後にした。まずは次なるピーク鍵掛(1589m)を目指そう。

 

 

「あれかにゃ?」サル

 

無名峰だね。地形図では短調な縦走路だけど、小さなアップダウンが連続するみたいだよ。

 

「またでっかい岩があるにゃ」サル

 

 

そっちは行き止まりだよ。

 

「ほんとだ」サル

 

でも眺望は最高だったね。

 

 

この大岩の基部から一度くだって巻いていく。

 

 

「あれが鍵掛?」サル

 

いやいや。1594m峰でしょ。

 

「なかなか峠に着かないにゃ」サル

 

 

ピークから鬼ヶ岳を振り返る。手前の無名峰に殆ど隠れてしまった。

 

 

縦走路は籔に覆われた箇所も多くて少し歩きにくい。

 

「でも好きじゃん。ヤブヤブ」サル

 

 

この痩せ尾根を降ると…

 

 

今回の縦走路の核心部。

 

 

なかなかアクロバティックで愉しかった。

 

 

降りきったところが鍵掛峠だった。そして眼の前に立ち塞がるのが鍵掛。

 

 

地味につらい登り返し。

 

 

富士五湖側は蒸し暑く、甲府側は涼しい風が吹いている。時折、叢雲が太陽を隠すと景色は冬に逆戻り。

 

 

と思ったらまた晴れる。この繰り返し。

 

 

鍵掛に到着。小さな標識があった。

 

 

通れそうで通れない。

 

 

巻けばいいのだ。

 

「痩せればいいのだ」サル

 

 

いいんだよ。もうね。五十も半ば近くなると性格も体型も変わらないのよ。

 

 

地味ながら絵になる展開。

 

 

あれが王岳かも。

 

 

王岳の山頂でランチにしよう。

 

「そうすゆ」サル

 

二人の足取りも心持ち軽くなった。この日は朝食抜きで登山を開始したので腹が減って仕方ない。

 

 

鬼ヶ岳をみたび見返す。

 

 

しかし違った。その先にもう一つピークがあった…。

 

 

ニセピークから降って岩場を巻いて…

 

 

最後の登りをこなせば…

 

 

今度こそ山頂のはず。

 

 

前日の大荒れの天気のおかげで富士の白根も薄化粧。

 

 

紅葉の季節もいいけれど、新緑間近なこの季節もいい。

 

 

笹薮を越えて最後のピークに到達。

 

 

山頂でラーメンを作って小休止。藪が邪魔する生憎の眺望だが、天気はもってくれたようだ。30分ほど山の景色を愉しんだ。暫くして二頭の犬を連れた若者三人組が現れた。黒い牝犬はまだ仔犬なのだろう。少し遠慮がちに僕らを窺っては、緊張に耐えられないのだろうか、足許の草木を貪っている。優しい垂れ目がその性格を表していた。

 

 

写真を頼まれたあと、彼らと別れて下山の途についた。好いなあワンコ。早く飼いたいね。でも、ワンコがいると山にも温泉にも行けなくなる。悩ましいけれど、まだ先の話かもしれないね。

 

「ワンとニャンとピーを飼う」サル

 

なによ。ピーって。

 

「トリ」サル

 

 

すぐに分岐が現れる。僕らは根場へと降っていった。

 

 

あたりには笹原が広がっていた。降雨のあとはスリップに注意しよう。

 

 

尾根を逸れてカラマツ林の九十九折になれば登山道も明瞭。

 

 

麓の方からは樹海を走り抜けるバイクの排気音が遠く響いていた。

 

 

林道にタッチ。迷いそうなポイントは皆無。よく整備されたコースだった。

 

 

幾重にも並ぶ堰堤を越えていく。

 

 

山麓周辺にはヤマザクラの薄桃色が一面に。

 

 

やや終盤にあったが、やはり野の花は美しい。そして、どことなく儚げで。

 

 

桜の饗宴を堪能して、廃村の石垣道を進むと、そこがゴールの駐車場だった。

 

 

根場の里を見守るように雪頭ヶ岳が静かに立ちはだかっていた。春を通り越した、夏の一歩手前のような、そんな安息の一日だった。

 

=登ってみての感想=

 

標識、登山道ともに全般的に整備されている。雪頭ヶ岳~鬼ヶ岳、鬼ヶ岳~鍵峠の区間は、虎ロープ設置個所があり、取り立てて危険というほどでもないが、人為落石、スリップによる転倒には注意したい。雪頭ヶ岳、鬼ヶ岳、縦走区間の幾つかのポイントがビュースポット。この山歩きの愉しさは二座を結ぶ稜線にある。山頂往復では勿体ない。周回縦走をお薦めする。

 

(おわり)

 

【行動時間】…5時間20分

 

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