礼文島/西海岸8時間コース | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

ゴロタ山(180m) 北海道

 

日程:2019年7月25日

天気:曇のち雨

行程:ストコン岬7:35→8:55ゴロタ山→10:13鉄府10:16→10:56澄海岬11:15→12:08召国分岐→14:16アナマ岩→14:40宇遠内→16:10香深井

■駐車場(ストコン岬にあるがバス利用が便利)/

 トイレ(ストコン岬・鉄府・宇遠内にあり)/登山ポストなし

 

≪澄海岬も花は終わっていた…≫

 

こんばんは。ひつぞうです。礼文島二日目は屈指の名トレイル西海岸8時間コースに挑戦しました。礼文島最北端のスコトン岬を出発し文字どおり島の西海岸を南下する縦断ハイキングコース。以前は南端の桃岩展望台まで海岸線を歩けたようですが、落石と高潮の危険があるため、宇遠内集落から峠を越えて香深井集落にゴールする内容に変わっています。詳しくはいつもの山行記録で!

 

西海岸8時間コース ←ココをクリック!

 

★ ★ ★

 

花の島・礼文。それを象徴するのがスコトン岬から始まるトレイルコースだ。冒頭に記したように、花の群落は主にストコン岬~澄海岬までの岬めぐりコースと南端の桃岩展望台コースに集中する。だが変化に富んだコース展開の西海岸8時間コーを是非歩いてみたかった。

 

今年は花の開花が早く、礼文の草原に映えるひと際大ぶりなヨツバシオガマを見ることは難しそうだ。

 

★ ★ ★

 

①トレイルの基地をどうするか

 

集落は北端の船泊と南端の香深に別れるが、礼文空港が事実上廃港となっているため、船泊はキャンプで登山を続ける人にしか用をなさない。一般ハイカーは宿泊施設が充実した香深がいいだろう。

 

②縦走の起点をどうするか

 

結論から云えば、自治体はストコン岬からのスタートを推奨している。道標が見にくいというのが理由らしい。確かにビュースポットのゴロタ岬周辺は朝日が当たる時間に通過すべき。

 

③移動手段をどうするか

 

もちろんバス。6時30分の始発バスに乗らなければ、帰りの香深井16時41分発のバスに間に合わない可能性がある。ま、香深まで歩きますという人には余計なお世話だけど。

 

 

ということで予報通り霧と強風のストコン岬に始発便で到着。同時に出発したハイカーは他に三組。そのうち二組は岬めぐりコースまでのようだ。礼文岳で一緒だった福岡組のお二人は船泊の九種湖畔野営場でテント泊だったはずなので既に先行していると思われた。

 

7時26分にバス停に着いたが、岬の先端までまず移動。ここで標高15m。沖合には春先までトドが集まるトド島が遠望できる。ということで7時35分にスタ-ト!

 

 

クサフジ

 

それにしてもすごい風。吹き飛ばされそうなので建物の中で準備したほうがいい。

 

 

星観荘の前で道路は分岐。この後も鮑古丹の集落にくだらないように。

 

 

ハクサンシャジン

 

たくさんの高山植物が咲いていた。

 

 

キタノコギリソウ


エゾノコギリソウとは違って淡いピンク色。

 

 

ストコン岬方面を振り返る。こんな感じでしばらく水平な舗装道路を歩く。

 

 

段丘になっているのがよく判るね。

 

 

江戸末期にロシア人との貿易で財を成した銭屋五兵衛の記念碑。

 

 

眼の前に見えるのはこの日最高峰のゴロタ山。周辺は火成岩からなる。堆積岩の変成作用で出来あがった島にあっては珍しい地質。なので柱状摂理も発達している。

 

 

タカネナデシコ

 

この花が一番咲いていた。高山植物が波打ち際に普通に咲いている。なんか不思議。

 

 

ストコン岬が遠くなった。アップダウンがないので稼ぐ距離が大きい。

 

 

もうちょっとで岬の先端。山の頂上。

 

 

ついた!ここからのくだりは粘土質になり、かなり滑る。注意しよう。

 

 

花を愛でるには中途半端な季節にあたってしまった。ミヤマゼンコだろうか。立ち枯れて既に秋の気配。

 

 

 

ミソガワソウ

 

 

長い長いゴロタノ浜の海岸線。その先に澄海岬が朧気に見える。

 

 

海岸線に降りたった。ゴロタ山を見返すと、往路と違って厳めしい火山の様相。

 

 

目を凝らすと沢山の高山植物が咲いている。

 

 

シロヨモギ

 

これは初めて見た。造花のようだ。

 

 

ハマナスも終盤。咲いているのは僅かで多くは結実していた。

 

 

鉄府(てっぷ)集落にもハイカー用トイレがあった。ここで小休止。とても綺麗。

なぜか人の気配が全くない。コンブ漁にでてしまっているのかな?

 

 

湾内の突き当りから再び峠越え。

 

「風強強~い!」サル

 

潮風で髪の毛もしゃもしゃ。

 

 

鉄府の集落を見返す。

 

 

んで今度は西上泊の集落へ。澄海岬は観光の定番なので観光バスが次々にやってくる。ここには売店・トイレもある。

 

 

トウゲブキが一番咲いていた。

 

 

ベンチもあるのでここで大休止することに。ホテルで用意してくれた弁当を広げた。オニギリとは別に、おかずも数種類ついた立派なものだった。

 

礼文島ではホテル礼文に滞在した。フェリーターミナルの目の前に位置し、島内でも一等クラスだった。別に贅沢したい訳ではない。代理店が用意できるホテルがそれだったのだ。

 

朝食は朝七時から。この日は七時前のバスに乗るので、弁当にできないかと訊ねた。フロントの若い兄やんは明らかに困惑した。そうしたサービスはないという。ハイキングの客層は多そうで実は少数派。仕方ない。だが、僕の顔には「ふまんです!」と出ていたと思う。朝、出がけに挨拶すると「あの~これ、当館からのサービスです」と、おずおず弁当の包みを差し出した。

 

「ひつぞう、食べ物が懸かるとおっかないもの」サル

 

そうかな。

 

★ ★ ★

 

弁当を食べ終えると、集落を通り過ぎ、再びトレイルに復帰。若干判りづらいが、他人様の自宅の裏側に道が続いていた。

 

 

ほぼ水平な笹原の歩きに変化する。礼文島らしいといえばそうかもしれない。間氷期が造りだした独特の地形が続く。明らかに本州とは違う。

 

 

チシマワレモコウ

 

 

召国への分岐に着いた。僕らは向かって左側に進む。かつてニシン漁で栄えた集落だが、今でも存在するのだろうか。ここから集落にくだる人はまずいないだろう。

 

 

電線はあるから集落はあるのかもね。ここから先僕ら以外に誰もいなくなった。こうした笹原は実は天然のものではなく、明治期に入植した和人の乱伐と山火事が原因。至る処に若木が植林されていた。

 

 

お馴染みガンコウランの黒い実。

 

 

少しずつ藪が深くなっていく。ちょうど前日登った礼文岳の西側を通過する。

 

 

バライロウラベニイロガワリ

 

毒キノコが少ないイグチ科の中では珍しい猛毒きのこ。傘も柄も美しい薔薇色。

 

 

沢沿いに進み、登り基調に少し息を荒げた処で、急峻な谿が現れた。東側から矢

継ぎ早にガスが流れていく。あのトンガリは321m峰だろうか。

 

 

この先暫く巻き道の連続。さほど困難ではない。ただ事故は起こさないように。

 

 

渡渉もある。最悪ここで水を補給できそうだ。

 

 

渡渉の後は急な降りに変化。とにかく変化があって飽きない。天気が芳しくなくても愉しめるトレイルだ。

 

 

サルナシの実。まだ熟していないので齧ると渋かった。キウイの原種。

 

 

間もなく樹林から脱し、裸地が目立つ尾根に出た。久しぶりに人工的な道標を眼にした気がする。このコース全体を通じて、道標は少なく、赤テープ、ケルンもない。とりわけ、この先の宇遠内までの海岸部はその傾向が顕著。(バスの時間もあるので)初心者だけの安易な挑戦はやめた方が賢明か。

 

 

あの防波堤は宇遠内の漁港だな。

 

「ほんとにいけるのち?」サル

 

 

鎖・ロープはしっかりしている。

 

 

浜に降りたった。ここがアナマ岩と呼ばれるあたり。地層がすごいね。古い礫岩や泥岩からなるため、崩落も著しい。海岸線ギリギリを歩くので、風が強くて波が高いは避けた方がいい。

 

「じゃダメじゃん。今日は」サル

 

潮が引いているから大丈夫だよ。きっと。

 

 

こんな感じで足場が悪いし、目印は皆無。

 

 

お~!宇遠内(ウエンナイ)の集落が見えてきたよ。ここにもトイレと休憩所がある。水分補給していたら、小屋から奥さんが出てきた。宿泊のお客と間違えたようだ。仕切りに休憩していくことを勧められたが、バスの時間があるので丁重に断った。

 

休憩所は不定休なので、事前の確認はしたほうがいい。8時間では頼りないと感じる人には心強い施設だ。しかし、いつまで続くのか。というのもこの集落までのアクセスは、僕らが進む峠道以外は船しか交通手段がないからだ。小屋に人がいるのはコンブ漁の漁期に限られ、秋が深まれば町に帰ってしまう。

 

 

「また登るのちにゃ~!」サル

 

はい。海抜0mからもう一度。

 

残念ながら峠に差しかかるあたりで本降りになった。レインウェアを来て峠を越える。ようやく車道と合流した。ここを右に進めば礼文林道コースになるが、現在は使用禁止だったはずだ。

 

 

あとは香深井の集落まで消化試合。

 

 

怪物のようにデカいエゾニュウ。ウドのように食用になるらしいが、灰汁が強すぎて塩蔵しないといけないそうな。

 

 

無事時間前にバス停に着いた。花は盛りを過ぎていたし、霧で景色も今ひとつだったが、逆に険しい原始の島の雰囲気を味わえた気がする。ま、長い人生。遠い島だが、もう一度くらいは自費で訪れてもいいかもね。

 

翌日予定していた桃岩コースはやめにして、将来の課題に残すことにした。三日目は温泉三昧と旨いホッケを食ったりして過ごした。気が向けばその記録も後日書いてみよう。

 

最終日四日目。朝一番のフェリーで稚内に向かった。皮肉にも飛行機が飛び立つ頃に青空が顔を覗かせた。

 

「ひつじっぽ~い!」サル

 

(終わり)

 

【行動時間】 8時間13分

 

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