南岳(3,033m)/北穂高岳(3,016m)/涸沢岳(3,013m) 長野県・岐阜県
日程:2018年8月3日~5日
天気:(2日目)霧のち快晴
行程:(2日目)南岳小屋4:15→5:49長谷川ピーク5:55→7:55北穂高岳8:20→11:00涸沢岳11:15→11:30穂高岳山荘→13:18涸沢ヒュッテ
■涸沢ヒュッテ(素泊まり6,500円/自炊場は本館玄関脇)
≪涸沢岳から奥穂高岳を望む≫
こんにちは。ひつぞうです。ようやく夏休みに行く山が決まった。でも天気は不安定な予報。欲張らず早出早着を心がけよう。って云ってもまだ出発しないけどね。早速「大キレット縦走②」の続きです。
★ ★ ★
北穂高岳から涸沢に降りることもできるが、涸沢岳を越えて白出のコルまで縦走する計画だ。そうすれば焼岳から烏帽子岳まで一気に赤線が繋がり人によっては大キレットよりも難度が高いと云うルートを踏破できるしね。
んじゃスタートしよう。目の前に屹立しているのが北穂高岳南峰。登山道はないけど登ることはできる。その右後方に頭を出しているのが滝谷ドーム。これも基本的に信州側を巻く。そして奥に見えるのが奥穂高岳。ジャンもロバ君も頭を出しているね。
いや~やっぱり北アルプスでしょ。岩の魅力で云えば!
やや水蒸気が多い感じ。近隣の山が少し靄っている。午後の天気はくだり坂かも。
間もなく涸沢との分岐に到着。ぼーっと歩いていると、登ってくるハイカーに吸い寄せられて間違って下山しそう。道案内を乞うた男性は、以前間違ってそっちに降ってしまったそうな。
だってよおサル。ん?だからそっちじゃないって!
「もきょ?」
漫画の主人公みたいだね。君は。
ここは南峰を回り込んだあたり。飛騨側はC沢に当たる。
奥穂高の前に涸沢岳が迫る。涸沢槍はちょうど重なって景色に溶け込んでしまって判りづらい。北穂までの大キレットと異なって、随分ハイカーの数が減った。離合が然程ないのでありがたいよ。
飛騨側への下降。マークを着実に追うことだ。
ドームが迫ってきた。ここも信州側を巻く。足許が切れ落ちている。慎重に行きたい。この二日前に最低コル周辺で痛ましい事故が起きていた。
歩きにくいゴーロ帯を遣り過ごすと…
C沢の鎖場に到着。間の悪いことにまたまた複数パーティと離合。岩が摩耗して滑りやすいので横着しないことだ。
支尾根周辺は再びゴーロ帯。結構高度感がある。
間もなく奥壁バンドかな。
飛騨側の狭い急なトラバースが続く。見た感じおっかないけど、足許はしっかりしているので油断しなければ大丈夫。
南岳の縞模様が一層顕著になってきたね。
第5尾根の辺りから涸沢槍方面を望む。直下の赤っぽい鞍部が最低コルかな。
違ったよ。もうひとつ先に見えるあの白い鞍部がそうだ。〇の中は僕です。
斜面の規模が判るでしょ。
着いたよ。今度こそ最低コルだ。ポイント表示があるのはここだけだった。他はペンキ表記や道標もないので、地図で現在地を確認しながら歩かないと、通過地点が判らなくなるんだよね。
「そんな余裕ないよぅ!」
直下に涸沢ヒュッテが見えるでしょ?有事の際はエスケープルートとして利用可能らしい。
まずは亀岩を稜線なりに進む。浮石があるので注意しよう。
左手前に二つピークが並んでいる。あれが涸沢槍。いよいよこのルートの核心部が始まるよ。
「何が何だか判らないよぅ!」
あ、そう?じゃこんな感じで解説。
涸沢槍までは鎖場と長い鉄梯子で斜度のきつい岩場を一気に登る。ザレているので人為落石に要注意。梯子の先端部は若干岩が被り気味。くれぐれもザックを引っ掛けないように。また棒状の足場なので、スリップにも注意したい。
それが終われば鎖つきのトラバース。再び垂直に登れば涸沢槍のコブの間を通過する。なので涸沢カールから見上げる鋭鋒のような場所ではなく、人によっては槍と気づかずにスルーしてしまう。
んじゃ行ってみよう。誰も来ないよな。
最後がちょっと嫌だね。
おサル、ザック引っ掛けないようにねー。
ここで進行方向から5名ほどのパーティ出現。殆ど交わすスペースもないけれど、おサル来ちゃっているし。待ってもらうことにした。快く承諾頂いたが、その一人が初心者のようで、もう足も手もブルブルな訳よ。狭い斜面で自立できないんだね。「巻き込まれたら上司怒るだろうなー」なんて他人事の様に思い浮かべながらも無事回避した。
おサルも無事登ってきた。だいぶ度胸がついたな。よしよし。
その割には僕の方が屁っ放り腰なんだよね。だせー。
ま、割とスペースあるんだよ。下から想像する以上に。
次は垂直ね。しかし難所は悉く離合したな。三連休とかだったら地獄だな。
涸沢槍はサクッと通過して下降。見るからに滑りそうなスラブが現れる。こういう場所に限って鎖がないんだよ。上の方を歩けば問題なし。
オダマキのコルからの北尾根。
奥黒部の山々も。ビューポイント。
最後の斜面を登り切れば涸沢岳山頂だよ。
最後の縦・横・縦の鎖場。ひつぞう通過中。
おサルようやく涸沢槍の間を通過して下降中。
最後の最後に割と長い鎖場がある。スタンスの段差が大きく、小柄な人は大変かもね。最後は腕力で一気に登った。上から見るとそこそこの高度感だけど、全然大丈夫だった。
50㍍ほど水平移動すれば涸沢岳。山頂は狭く切れ落ちているのでおサルだけ撮って撤収だ。お疲れ!
ここまでくれば穂高岳山荘の印象的な赤い屋根が見えてくる。今回は奥穂は登らない。もう何度も登っているし、槍と同じ理由だけど、渋滞で小屋への到着が遅れることの方が重大。今日は激混みだってスタッフが言っていた。
山荘に降りた時点であっという間にガスに呑まれてしまったな。昼前だったせいかテン場は空いていた。
間髪入れずザイテングラートをくだる。もう頭の中の80%を生ビールが占めてるんで。途中からパノラマコース経由で涸沢ヒュッテに到着。受付で記帳して部屋を割り与えられた。
本館の一階の八人スペース。御覧のように枕の位置は互い違いのオイルサーディン。以前南アの赤石岳避難小屋で同じ状況になったけど、あの時は皆マイシュラフ持参だったので足臭の危険はなかったけど。混みあうともっと詰めてくださいね、と云われた…。神に祈るしかないね。
一番端を取れたのはラッキーだった。到着順に端から詰めるルールなんだ。やっぱり早起きは三文の徳だったよ。
着替えもすんで後は宴会を始めるだけ。残念ながら空は中層の雲に覆われてしまったけど。いいや飲めれば。それに涼しい!
これよこれこれ。一杯800円は良心的。
こんなのもある。塩尻・桔梗ヶ原の井筒ワインがオリジナル販売している涸沢氷河ワイン。メルロー主体のミディアムボディ。ってかさ。高所でフルボトル開けて大丈夫なの?
「いいのちよ。ひつぞうは飲まなくても。おサルのお小遣いで買ったし」
只酒ほど旨いものはない。遠慮なくご相伴に与った。そして歓談哄笑。耳の良いおサルは隣のパーティが同郷と察知。すかさず
「ひょっとして〇く〇〇県の方ですかにゃ」
ビンゴだった。しかも一人は僕の実家から1㌔圏内の方だった。白馬大池でも、みくりが池でも同じことがあった。アルペンチックな山がない九州人にとって、中部山岳地帯は、どこによりも増して遠征したい憧れの山域なのだろう。
ということで、なし崩しに酔ってしまい、自炊部屋でも大阪の山ガールと栃木の兄やんと大いに盛り上がったのだった。ダメやろ。
(続く)
【二日目の行動時間】 8時間10分
いつもご訪問ありがとうございます。
そろそろ終わりにせんとね。