特別展「ウルトラセブン~モロボシ・ダンの名を借りて~」 | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
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特別展「ウルトラセブン~モロボシ・ダンの名を借りて~」


往訪日:2017年8月18日

開催地:横浜高島屋

期間:8月16日~8月28日(10時~19時30分)

料金:一般800円/中学生以下無料




こんばんは。ひつぞうです。

子供の頃から無類のセブン好き。
絶好の機会を逃すまいと、嫌がるおサルを強引に誘って
横浜高島屋で始まった企画展にいきました。

「これって子供向けの夏休み企画なんじゃね!?」サル



1Fには巨大なアイスラッガーが展示。
五十のオヤジが真剣に写真を撮る姿はちょっとマニアックかもしれない。
当然おサルは他人のふりしてスタスタいってしまった(笑)。


会場に向かう。マニアや親子連れの姿は殆どなく
ノスタルジーに駆られてやってきたのだろう、
仕事帰りの五十代と思しき単独男性が殆ど。

恐らく彼らは皆奥さんから「いやよ。独りでいってよ」と断られたのだ。

★ ★ ★

「ウルトラセブン」は「ウルトラQ」「ウルトラマン」の後継番組として
円谷プロとTBSによって制作された期待の番組だった。

ところが放映終了の1968年から次の「帰ってきたウルトラマン」まで
3年間の空白期間が存在するんだ。

「なんで?」サル

特撮撮影の予算と期間が追いつかず企画が終了したとも
言われるけれど、大人の視聴者を視野に入れた「シリアスな脚本」が
あまりにも暗くてスポンサーが離れたという話を聞いたことがあるよ。

確かに暗い。
森次晃嗣さん演じるモロボシダンが、責任感の塊りというか
熱くそして暗い。

「ウルトラセブン」のテーマは「迫りくる侵略者たち」。
前作の「ウルトラマン」が怪獣VS巨大ヒーローという判りやすい
図式だったのに対して、冷戦や侵略戦争、宇宙開発といった
時代背景を巧みに取り入れたSF色を強めた作風だったんだ。
(だから怪獣が出てこない作品もある)

ま、当然重苦しいよね。本来子供番組だから。
でも、幸か不幸か、結果的に大人の鑑賞に堪えられる
高水準の特撮SFテレビ映画として海外でも高く評価されるようになったんだよ。


今回の特別展は、怪獣やセブンではなく
モロボシダンが主役になっている。
つまり、脚本を通じて登場人物の内面や心理に焦点を当てている。

写真は写真撮影OKな「メトロン星人VSウルトラセブン」の等身大ジオラマ。
傑作の呼び声高い第8話「狙われた街」の光景だよ。

江東区の下町のアパートの一室で
胡坐をかいたジャケット姿のダンと安いモーテルの
電飾のようにチラチラ光るメトロン星人が議論する。
印象的な場面。

半径10kmが世界のすべてだった少年の僕には
想像もつかない都市の描写が強烈な残像となったな。

他にも戦闘服のままドレッサーで髪を梳くアンヌ隊員を
背後から襲うペガッサ星人の構図もキッチュだった。

これらの構図は
当時ハリウッドで量産されたB級SF映画の
影響が色濃い。

少女時代の松坂慶子が出演することで知られる
第31話「悪魔の棲む花」。
セブンがミクロの怪獣ダリーを退治するため
松坂慶子の鼻の中に入っていくが、これなんか
まるで「ミクロの決死圏」。

サイボーグのロボット長官の
ゼンマイ仕掛けの脳内が印象的な
第43話「第四惑星の悪夢」はユル・ブリンナー主演の
「ウエストワールド」を彷彿する。

いい意味で換骨奪胎されているんだね。



セブンの脚本で忘れてはいけないのは金城哲夫さんの存在だ。
多くの傑作脚本を遺した金城さんは沖縄出身で
アメリカ治世下の沖縄の人々の悲哀を物語に託した
第42話「ノンマルトの使者」は忘れがたい。

金城さんはその後事故で若くして亡くなったけど
素晴らしい作品は今でもDVDで観ることが可能だ。

★ ★ ★

ひつぞう少年は物語の世界よりも
ひし美ゆり子さんの、子供向け特撮番組のヒロインにしては
あまりに官能的なプロポーションとハスキーボイスが
気になって仕方なかった。
(実は、アンヌ役は撮影直前の代役だったらしく
身体の線が出すぎたコスチュームは小さすぎたためらしい)

今でもアラフィフジジイたちのヒロインであり続けている。


一時ネガティブなイメージで受け止められたセブンだが
その後もモロボシダンと森次晃嗣さんはセットになって
ウルトラシリーズにゲスト出演している。

全然関係ないが森次さんご本人は鵠沼で
レストラン「ジョリー・シャポー」を経営されている。
ハヤシライスが絶品の店。
運が良ければ森次さんご本人を厨房でお見受けする
ことも可能だ。

店の情報はココ → ジョリー・シャポー

かつてのウルトラ俳優を招いてのファンの集いが開催されている。
ファンの方是非どうぞ!



「ジョリー・シャポー」を訪問したら、ついでに近くの鵠沼伏見稲荷神社に行ってみよう。
このアイスラッガーお守りを購入できる。
どんな災厄でも一刀両断だ(笑)。

★ ★ ★

会場を出ると関連商品の即売会場になっている。
実物大「ウルトラアイ」を探したら(やっぱり)あった(笑)。
なんと3,400円!
でも買う人がいるんだろうな。

★ ★ ★

ホルンが印象的な主題歌。
セブンの間奏曲はクラシック的作曲が多く重厚。
特に最終回のダンがアンヌに自分がウルトラセブンで
あることを告げる場面の印象的な映像とシューマンのピアノ協奏曲。

とても子供相手の映像とは思えなかった。

「今日も独演会だったにゃ。全然分からないだよ」サル

ノスタルジー満喫の一日だったよ。


(終わり)

いつもご訪問ありがとうございます。