「ナオユキ/スタンダップコメディ・ライブ」
往訪日:2017年10月3日
場所:野毛の某ライブハウス
こんばんは。ひつぞうです。
毎晩酒を食らって爆睡し、気がついたら
台風の猛威はどこかに去っていました…。
登山に行けないので、書き残した小ネタが
暫く続きます。辛抱してちょ。
★ ★ ★
いつもと変わらない登山遠征からの帰り道の事だった。
高速を走る車のラジオから
「トーキング ウィズ 松尾堂」の
松尾貴史とゲストの軽妙なトークが
繰り広げられようとしていた。
(下山するとちょうど始まる。なので毎回聴いている)
複数のゲストが出演。好みの音楽や本について語り合う。
その日のゲストの一人がナオユキさんだった。
大阪を中心に活躍するピン芸人。
スタンダップコメディという言葉を初めて知った。
一人でステージに立ち、下ネタや政治漫談を
早口でまくし立てる、アメリカで人気のお笑いのスタイル。
ジム・キャリー、ウディ・アレン、エディ・マーフィーなんかもそう。
厚切りジェイソンなんかも典型的。なんとなく判るね。
★ ★ ★
下街のネオンに沈む、ガード下の安酒場。
どうしようもない酔っ払いたちの人間模様を
不条理と滑稽と哀切を交えて描き出す。
前触れもなく始まるモノローグ。
意味深な言葉のリフレイン。
短いコントの中に忍ばせるオチとツッコミ。
どこか遠い記憶の果てに置いてきた、
夕暮れ時に交わしたオカンとの会話。
別れたはずの女と安酒場でばったり鉢合わせ。
女はめちゃくちゃ酔うとった。
その女が吐いた言葉は?
隣に面倒くさそうなオヤジが飲んどった。
オヤジはめちゃめちゃ酔うとった。
関わりたくない。
そのオヤジがオレの肩に触れてこう言った…。
★ ★ ★
涙を流しながら笑い続けた。
隣を追い抜くドライバーが見たら
恐れをなして一気に加速したに違いない。
ナオユキさんのネタは
聞いているだけで、場の雰囲気というか
光景というか、それがはっきり浮かんでくる。
一瞬にして虜になった。
酒場で酒を飲みながらのライブがメインだという。
好機到来。適材適所。
是非一度、ライブを観ながら笑いと酔いに痴れてみたい。
★ ★ ★
ライブの予定を調べることにした。
おサルがスマホでニチニチ調べる。…調べて驚いた。
「野毛のライブハウスでやるんだって」
なに? 近所やん。
行くことにした。
★ ★ ★
野毛の外れの一軒のバー。
始まる30分前に着いた。
客はまだ誰もいない…。
どこでも好きなところにどうぞ、とマスターに言われた。
遠慮せずに最前列に陣取った。
六人掛けのテーブルの他に
カウンターがひとつ。決して広くはない。
ボブディラン、マービン・ゲイ、ビートルズ。古いLPレコード。
つげ義春の漫画大全、荒木経惟の写真集が処狭しと並ぶ。
雑然としながらひとつの宇宙があった。
悪くない。むしろ好き。
突然、キャリーケースを引き摺ったラフな出で立ちの兄やんが現れた。
兄やんは店主と軽く挨拶を交わすと、どこかに出て行った。
どこいくねん。
ナオユキさん本人だった。
暫くして戻ると、手渡された水割りに一口口をつけ
煙草に火をつける。
紫煙が暗いステージに広がる。
モノローグは突然始まった。
「おおおお。これだにゃ!」
おサルも感動。
具体的なネタは著作権の問題があるので記せない。
言葉で記したとしても、その可笑しさは再現できないだろう。
ナオユキさんの絶妙な間によるツッコミとぼやき。
グルーブしながら言葉を紡いでいく、
ジャジーな笑いのセンス。
おサルは親族が大阪の下町界隈だから
雰囲気が判るし、僕も4年間関西に暮らして
天満橋のガード下や、阪神電車の尼崎駅や、仁川の阪神競馬場で
昼間から酒に酔ってグダグダになったおっさん達をたくさん見てきた。
「ひつぞうも、時に、家呑みして
ぶっ壊れているにゃ!」
ほっといて。
★ ★ ★
最初は緊張していたのかもしれない。
だって人見知りの僕が目の前にいるのだ。こっちも緊張している。
ナオユキさんも緊張する。やりにくいに違いない。
緊張は伝播してしまうのだ。
「でも泪ながして笑ってたよ」
最近特に涙腺が緩くて困っている。
ライブは前半50分。トータル1時間半だった。
「今日はついつい長くやってしまった」と哂いながら
グラスに口をつける。
これでチャージ500円で、あとは投げ銭だというのだから困ってしまう。
なので、バンバン飲んだ。
「それナオユキさんの稼ぎにならんし」
ほんとに旨い芸人さんだった。
これはもう一回は行かねば。
(写真は御本人の許可を頂戴してUPしてます)
昔は絶頂期の「中川家」と松竹芸能の「ますだおかだ」が好きだった。
でも今は、ウクレレ漫談の「ぴろき」が好きだし
「ナオユキ」さんもお気に入りになった。
基本的にひつぞうはピン芸人が好きなのかもしれない。
(おわり)
いつもご訪問ありがとうございます。