万世大路 氷柱スノーハイク | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

万世大路 氷柱スノーハイク


日程:2017年2月11日

天候:晴れ時々雪

行程:東栗子トンネル起点8:30→9:30二ツ小屋隧道東側(撮影30分)10:00→10:08西側10:13→10:20東側(ランチ)11:20→11:55東栗子トンネル起点

■トイレなし/駐車スペース10台程度(但し工事関係車輌も停車するため5台前後か)



≪万世大路の巨大氷柱≫




こんばんは!
ここんところ晴天続きの関東平野ですが
日本海側や北日本では大雪ドカ雪の連続。

少しでも雪があって天候の落ち着いた場所を求めて
福島県の万世大路氷柱スノーハイクに行きました。

★  ★  ★

「万世大路」(ばんせいたいろ)は福島と米沢を結ぶ幹線道路で
明治14年の開通だそうです。
昭和45年(1970年)までは現役の国道だったのですが
カーブの続く峠道で冬場は積雪で封鎖されるため逐次改修が進められ
トンネルで結ぶバイパスが作られました。それが現在の国道13号線です。

当然、今では廃道あつかいの万世大路ですが
滅び潰えて忘れ去られる運命のものに
愛惜の念をいだくロマンチストはここにもいて
地元有志によって保存整備されているのだそうです。

★  ★  ★

【今回のルート】



ちょっとした偶然から万世大路の「二ツ小屋隧道」に
冬季限定で巨大な氷柱ができることを知った。

最初は裏磐梯にイエローフォールを観にいく予定だったが
会津は風雪の予報でとても美しい景色を堪能できそうにない。
しかも今年も規模が小さいという。

二ツ小屋隧道であれば「福島飯坂IC」から国道13号線経由で20kmも離れていない。
行くことにした。
たいして時間のかからないハイキングなので、当日の午前4時に自宅を出発。
目的地の東栗子トンネルの東側出口にある駐車スペースに止める。



なんとすでに四台の車があった。
恐るべしネットの威力。

準備を終えてすぐに出発。旧「万世大路」の起点が取りつき箇所なんだけど
現在、東北中央道の新トンネル排気坑工事の工事現場となっている。
(なので駐車スペースも8時を過ぎると作業員の車や重機でいっぱいに
なる。早めの到着をオススメする)



道路を渡って直接ガードレールを越えて斜路を登る。
前夜の降雪でスノーシューなしではちょっと厳しい。
この場所ですでに登ってこられた夫婦一組と離合。

ほぼ同じタイミングで会津の男性二名パーティが出発。



巨大排気坑の真横を越えていく。



先行者のトレースが二本できているが
それをなぞっちゃスノーハイクの意味がないし
カロリー消費もできない。
ということで無軌道に歩き回る。
あとから来た人は一体なにがあったのかと不審に思うかも。



今季一二を争うモフモフ感だった♪



まるでオブジェ。これが無雪期だったら鬱陶しい邪魔ものなんだけど。



狙いは当たり素晴らしい好天になった。
粉雪が舞っているけど風がないので全然寒くない。
逆に暑くて汗がしとどに流れ出る。



途中までこのケーブル跡に沿って歩くといい。
ただしGPSはあったほうがいい。
黄色いテープがついているが、急な荒天に飲まれると怖い。



おさる!自分で道作ってよね!
ダメだよ他力本願は。

「判ってるよ!ひつぞうなんかに言われなくても…ブツブツ」サル



モサモサやっているので追い抜いた。
雪に埋っていて判りにくいが、万世大路のS字カーブが延々と続いている。
そこを直線で跨いでいく。なので途中でちょっとした坂が現れる。

先行者は弱点をついて無駄な労力を省いているが…

「おサルが新しいルートを開拓するだよ!」サル

鼻息が荒い人物が約一名。



威勢がいいのはいいが、取りつきで囚われの身になっている…。



写真で斜面を表現するのはほんとに難しいが
(おサルの肩を持つ訳じゃないけど)マジで急だった。

「ふう…。開拓しただよ!」サル

誰かの役に立つかな?




もうあとちょっとだ!

往路1時間。復路0.6時間が目安。



また何か企んでいるようだ。

「第二次おサル隊が遠征しにきただよ!」サル

ほんとすぐ調子に乗るね。おサルは。
すぐ右側に傾斜の緩い箇所があって先遣隊はそこを
通過していたが、それじゃ赦せないようだ。

「ふむふむ」サル



「ここを越えるだよ!」サル

おもむろに直登を始めた。
シューを履いたままじゃ相当無理な急斜面。
でも負けず嫌いでは右に出る者のないオサルコだ。



お!登った!



「やったど~!」サル

(写真じゃ伝わらないが、さっきよりも更に斜度がある)

おサルに敬意を表して、ここを「さるさるステップ」と名づけることにした。



「ひつぞう、全然登れてないにゃ…」サル

仕方ないでしょ!貴方の二倍近い体重があるんだから。
さらさらの新雪なんで、まったく登れない。
強引にシューを突き刺して、目の前の枝に掴まりながら踏破。
「さるさるステップ」は伊達じゃなかった。


この斜面を乗り上げれば左手に道路が続き、隧道の口が見えてくる。



昭和9年完成の隧道だ。ちなみに一番長い「栗子山隧道」は
近代化遺産に認定されているが、落盤で入坑禁止になっている。
無雪期は廃道マニアの巡礼地となるらしい。



さっそく這入ってみることにする。全長350m。
古いタイプのトンネルなので逆Uの字をしている。
現在のシールド掘削によるセグメント工法だと完全に円形だが。



至る所から巨大なつららが。
危険なのでヘルメットとヘッドランプを装着。
ランプはなくてもなんとなく見えるが核心部は路面が完全氷結していて危険。
あったほうがいい。



まるでナガスクジラの髭みたいだ。



ついに核心部に到着。東口からすぐだ。
床はスケートリンク並み。摩擦係数0。


現在我々サルヒツジ探検隊と会津探検隊の2パーティのみ。



記念写真を撮ることにした。

別に格好つけているのではなくて
タイマーにあわせて戻ろうとすると確実にこけるので
一気にハイハイして戻らなくてはならず
どうしてもこういう格好になってしまうのだ。



これでも最初に発見された頃と比較すると
規模がだんだん小さくなっているそうだ。
温暖化の影響だろうか。
この日は寒かったので崩落音はまったくしなかったが
昼に近づくにつれ、轟音とともに崩落する危険もあるそうな。



実際に被害の現場がすぐ傍に。


天井を見ると落盤箇所があった。
ここも近い将来封鎖される可能性もあるなあ。
時代が時代なので仕方ないのだろうが、「ジャンカ」といって骨材とモルタルが
均一に混ざらず、骨材の砂利が固まった箇所が随所にある。
ここから崩落が始まる。


僅かな隙間から雨水が浸透し、氷結することでコンクリートの
崩落は進む。美しい氷柱だが、確実にトンネルを崩す原因に
なっている。

複雑な思いだ。


せっかくなので反対側まで歩いてみた。
西風が強いのだろう、巨大な吹き溜まりができている。



ここも大規模に崩落し、白糸の滝になっていた。



外に出た。青空が覗いている。
ずっと歩いていけば栗子山隧道に辿りつく。
そこから玄人しか登らない寂峰「栗子山」が臨める。



戻ることにした。腹が減ったのだ。



「すっご~~~~ぃ!ナショジオみたい」サル

定期購読していたくらいおサルは『ナショナル・ジオグラフィック』が好き。
でもリアルなジオグラフィーには疎い。
道迷いの帝王なのだ。
帰宅しているのに八王子ジャンクションで間違って
改めて日本海に戻ろうとしたこと過去4回…。



「ふん。地図が読めなくても生きていけるよ」サル

そばに地図マニアのひつぞうがいるからね。



探検部の雰囲気が出ているね。



ここはハイハイしないと戻れない。
アイゼンあるけど出すのが面倒だった。



けっこう崩落している。長居は無用だ。



ということで時間もあるし、ランチにすることにした。
一時間ゆっくり休憩していると2パーティやってきた。

結局ピッケル、アイゼンは不要だった。



下山は一気に降った。
シリセードでくだればあっという間。
ところどころに(倒木だろうか)スノーシューを履いていても
腰くらいまでズボる処があるので注意しよう。
(特に単独の場合。ご存知とは思うけど一人で
腰までズボると脱出困難になる。)


駐車場が見えてきた。



戻ってくるなり、これから出発しようという単独男性に道を訊かれるおサル。
ダメですよ。この人に道案内を期待しては…。

最近の山歩きは時間こそ短いけど、個性豊かな雪山ハイクばかりで
つねに満足のサルヒツジなのであった。

おわり)

【行動時間】 1時間+16分+35分
 
 

いつもご訪問ありがとうございます。