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いっすんさきは・やみ 【一寸先は闇】
◆ これから先、どんな運命が待ち受けているのか、まるで予測がつかないこと。
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長野県の健諏訪湖に面した高等学校。
真冬の冷たい風が湖面をなでている。
この学校は、制服がなく私服で登校することができた。
みんなほとんど私服だが、目立ちたい者は学ランを着てきたり。
学校も終わり、羊介は3人で駅まで帰るところだった。
3人共進路が決まって、消化試合の感覚で学校へ通っている。
歩道には雪が残っていてざくざくと耳にうるさい。
空気も冷たく、羊介は両手をポケットに突っ込んで歩いていた。
一人はマー。
髪をブリーチし、逆立ててパンク風にしている。
もう一人はトシ。
ビジュアル系でカールスモーキー石井に似ていると羊介は思っている。
そして羊介。
リーゼントに革ジャンの矢沢系。
羊介は端整な顔立ちで、女子高にファンクラブができる程の人気があった。
だから彼には欺瞞な自信が満ち溢れていた。
3人揃うと、際立って目立った。
しかし、まだこの時、羊介はあんな卑劣な罠が仕掛けられているとは考えてもいなかった。
駅は学校から歩いて20分ほど。
隣の帰宅中の女子高の生徒もちらほらと目についていた。
3人はざくざく音をたて歩いていった。
羊介を中央に3人並んで。
恐ろしい事故が起きたのは、駅の構内に入る直前だった。
どんがらがっしゃん!!!
という音がした訳ではないが、そんな感じだった。
羊介は、脇にいた2人の視覚から消えていった・・・。
2人が見てみると、羊介は雪の上に転がっている。
両手をポケットに突っ込んだまま・・・。
足には、直径30cm位の輪になったビニールの荷造りのひもがからまっている。
起き上がりながら・・・羊介は見た。
後ろにいた女子高生の二人組が、腹をかかえて笑っているのを・・・・・・。
トシとマーが、同じように笑い転げているのを・・・・・・。
「やべ~!自殺もんのスタント決めちまったべ・・・」
ちょーだせー。なんてことを考えながら、笑いがこみ上げて来てしかたがなかった。
羊介は思った。
人生、罠だらけだべ・・・と。