責任を避けようとすると悩む
「自分」に執着しない生き方 (P.100-101)
(大和書房)

 自分の進路を自分で決める。そこに責任があり主体がある。現代人はあまりにも“いい子”でいすぎる。それは何よりも責任を避けたいからである。
 僕のところに相談に来る人を見ていて感じたことは、何とかして自分の人生に責任を取らないでおこうという姿勢である。自分で自分の人生に責任を取らないでいるにはどうしたらよいかということばかり考えている。悩んでいる人は責任を逃れることばかり考えているから悩むのである。避けられない責任を避けようとするから悩むのである。
 つまり何かを相談に来るのであるが、それはかたちだけである。質問というのは皆かたちだけである。それでは何をしに来るのか。それは僕に決めてもらいに来るのである。心理的に離乳するのはどうしたらよいか。質問はそうである。しかしそのようなことについては、僕はいろいろすでに書いている。質問に来る人も読んでいる。家を出たほうがいいのかどうか、親からはなれたほうがいいのかどうか、いくら書いてあっても質問に来る。それは自分で決めるのではなく、僕に決めてもらおうということである