2008年1月25日 光文社 290ページ
★★*☆☆ 2.5点:個人的な感想
【あらすじ】
アマチュアバンドの姫川は、
子供の頃、姉を事故で、父を病気で亡くしている。
けれど、姉の死やそれに関係した両親の行動などには、
不可解な点が残っている。
ある日、バンドの元メンバーで、
姫川と交際中のひかりが、事故のような亡くなり方をする。
姉の死と恋人の死。
そこに隠された秘密・・・
【感想】
ネタバレ感想です。
ラットマンとは、
ネズミのような同じ絵が、
人間の絵の中にあれば人間に、
動物の絵の中にあればネズミに見える、という
同じものでも、見方によって全く違うものになる、
んー、なんて言うのかな、
すべてを語られていないことも、
真実が分からなくて想像で語られていることも、
分かっているんです。
だから、真相を知りたくて読み進めていったのですが、
・・・
いわゆるどんでん返しが何度もあり、
意外な真相に驚く、というパターンなのですが、
真相というより、想像にすぎない部分もあって、
それがすっきりしません。
母親が、姉は自殺したと思っていたことだって、
説得されるような材料がないよね?
飾り付けしていたのだし、状況から見ても事故でしょ。
虐待していたとはいえ、自殺だなんて・・
父親が母親をかばったというのも、納得しがたい。
だって、実の娘が殺されたそのとき、
その衝撃や怒りよりも、
疑問に感じずにはいられない。
そして、姫川の態度も、ちょっと不自然。
心が離れたと言っても
長年付き合った恋人が死んだというのに
(この時点では、姫川が殺したのか、犯人に心当たりがあるか、
あんまり動揺していないし。
バンド仲間も、目の前で元メンバーが死んでるのに反応が薄い。
あと、絵の具の赤と血の色って明らかに違うよね、とか、
生後半年の時に母が再婚・・って、そんな時期に?とか、
小さく気になることが色々あります。
だからつまり、
もう少しうまく読ませてもらいたかった、って感じです。
どんでん返しで意外な真相はおもしろいけど、
二転三転しても、結局それも想像にすぎなかったり、
「真相」かどうか、分からないものもあるわけだし。
それぞれが自分の見方で、思い込んでたってことなんだろうけど、
「みんな、ラットマンを見ていた」って書いちゃってるからね。
読者である私も、自分なりの見方で見ろってことなのかな。
感想書き終えるまで、感想3点つけてたけど、
書いてるうちに矛盾点が気になってモヤモヤするから、
登場人物もね、人間臭いかもしれないけど、
読後感が良くないことも、モヤモヤの原因かも。