★★★★★ 5.0点(個人的な好み)
ミステリー
(と、一般にジャンル分けされています。
事件を扱ってはいますが、謎はほとんどありません。)


大企業を脅かす、大きな事件が起きます。
犯行グループ、被害者の企業、
捜査をする警察、
事件を取材する記者たち。
それぞれが抱える背景や事情。
企業や社会が抱える闇の部分。
意外な犯人たちが計画した事件。
とんでもなく大きな事件を、
彼らは、どう実行していくのか。
周到に練られた計画。
事件は、解決するのか。
ネタバレなしでのご紹介は、ムズカシイです。。
文才の無さが…
ここに書きたくて、再読しました。
3~4回目かな。。
単行本上下巻、
2段組で455ページの大作です。
こんなに長いのですが、
削ってもいい部分までが入っているわけではないんです。
犯人側、警察、記者…
事件に関わる人物たちが、
本当に細かくていねいに、描かれていて、
読んでいると、登場人物の気持ちや、
事件がよく理解できて、
まるで自分の目の前で起きている出来事のような。
高村薫氏の筆力は本当に素晴らしく、
私は、この本に描かれている
大企業や経済界、警察やマスコミの内部、
…他のことも、よく知らないのですが、
そんな私にも、理解できるように描かれています。
『レディ・ジョーカー』は、傑作だと思います。
これは、読んでおくべき本ですよ。
10年以上前の作品なのに、
色あせていません。
もし、読んだことのない方がいらしたら、
できましたら、
『マークスの山』 『照柿』 『レディ・ジョーカー』
の順でお読み下さい。
これは、3部作と言われていて、
全部読むと、より深く読むことができます。
そして、できれば、単行本で読んでください。
(『レディ・ジョーカー』の文庫は出ていませんが)
高村氏は、文庫化するときに、
大きく書き変えられるので、
文庫だと、人物に違和感を覚えるかもしれません。
参考までに、
『レディ・ジョーカー』は、
「グリコ・森永事件」がモチーフになっているそうです。
映画化もされています。
石原プロが製作にかかわっているので、
合田役はちょっとイメージが違う気がします。
若すぎるし。
たくさん本を読んでいても、
本当に気に入った作品というのは、
実は、10あるかないかくらいです。
『レディ・ジョーカー』は、
自分自身も気に入っていて、
そして、自信を持って人にオススメできる作品です。
少し、ネタバレです。(水色部分)
あの方の話が、
『レディ・ジョーカー』で聞けた時、とてもうれしく思いました。
元気にしているって。
こんなにも、登場人物が、
まるで実在する知り合いのような、そんな気持ちになっていました。
新作も出る予定ですので、楽しみです。
合田雄一郎も登場するとか。。
97.12発行。
毎日新聞社