★★★☆☆ 3.0点(個人的な好み)
ミステリー
自殺志望の女性がある人物と出会い、
「あと1年死ぬのを待ったら、ご褒美に、
楽に死ねる手段」をもらう約束をする。
その日を待ち、生きていく女性。
一方、連続服毒自殺が起こり、
それに疑問を持った記者はその自殺を調べていく。
彼らは、どこで毒を手に入れたのか。
なぜ、同じ毒で死んだのか。
死にたくなるような出来事から、
なぜ1年も経ってから彼らは自殺したのか。
単行本の帯に書かれている言葉。
「文句なしの最高傑作!」
「新境地を開いた驚愕のミステリー」
そして、「書き下ろし」
…もう、読むしかない。
と思いました。
でも…うーん。
正直、満足できない本でした。
本多氏が著書について語っておられるのですが、
「僕は何も考えずに小説を書き始めます。
それがどんなものになるのかはもちろん、
書きあがるのかどうかさえ、本人にもわからない。
‥‥‥」
えらそうに言って申し訳ありませんが、
その書き方でなく、
きちんと物語の構成を考えて書いて下さったら良かったのかも。
と、残念な気持ちでいっぱいです。
アイディアは、とってもおもしろいんです。
違う書き方をしていたら、あるいは、
もっと傑作になっていたかも?なんて思います。
そして、本多孝好ともあろう人が、
何であんな、使い古された
安易なネタ(養護施設のエピソード)を使うのか××
それと、
「子供たちを呼ぶときは、君とかではなく、きちんと名前で呼ぶように」
と、一番初めに断っていた園長が、
30歳半ばの女性ボランティアを「おばちゃん」と紹介し(多分)、
子供たちに「おばちゃん」と呼ばせているのは、
何とも不自然で、違和感がありました。
個人の名前を大切にしようと考える人が、
女性のことを、名前でなく、
「おばちゃん」なんて呼ばせるわけがないでしょう?
そして、もうひとつ。
帯には、「『生』の意味を現代に投げかける」
と、あったのですが、
私には、「死」が(しかも自殺が)軽く扱われているように感じられて、
気持ちが重くなりました。
あー。文句ばっかり言ってる。。
とは言え、物語自体は、かなりおもしろいです。
物語の運び方が残念なんですよね。。
これから読まれる方に。
読んでいくポイントとして、
3人は、どうやって毒を手に入れたのか。
毒を渡したのは誰か。
1年待つことの意味は?
の、あたりを中心に読んでいくと
おもしろく読めるのじゃないかと思います。
08.11発行
講談社