これは学生時代に書いた“詩”みたいなもの。
ストーリーも何もなくて、ほどんど
ビョーキ決定!な内容です。
思えば、ずいぶんまともになったような気がします。
よかったよかった……
 
 
 
 月明かりのにじむ小さな部屋の隅で、ぼくは異物のようにうずくまっている。こおろぎの鳴き声が耳の奥に響き、窓の外では(きっと)冷たい夜が廃墟のように練り歩いている。
ドアがきしんだ音を立てる。のしかかる人の気配がぼくの首筋を締めつける。誰も入ってくるはずがないんだ。ぼくは誰も中に入れない……噛みしめた歯から鱗のない魚がぬるぬると無数にこぼれ落ち、思わず立ち上がろうとしたその瞬間、かすれた風の音がドアをゆっくりと閉じてしまう。
誰も入っては来なかった。ほっとして溜息をつき、窓ガラスの底に沈んだ骸骨のような顔に向かって呟いてみる。いつまで夜は続くんだろう……
この左胸の深くえぐれた洞穴を誰にも見せはしないぞ。固く身構えたぼくの背後から、黒い影が煙のように立ちのぼる。影の切ない愛撫にやっと眼を閉じて眠りにつき、明るい草原の夢の中で鳥になってしまうのを夢見ながら、ふと熱い胸騒ぎに目を覚まし、こおろぎの鳴き声の中のかすかな物音を聞き取ろうとしてみる。
いったいいつまで夜は続くんだろう……