『精霊の守り人』読了しました。

面白かった。&とてもよくできた作品だと感心しました。

ストーリー作りのうまさや文章の巧みさはもちろんですが、世界観のベースにしっかりした教養があり、それが絵空事でないリアリティーと深みを生んでいると思いました。

古代のオセアニアから、日本を含む東アジア島嶼地域、さらにアラスカ、南北アメリカをつなぐ、いわば環太平洋文化圏のアニミズム信仰にもとづく世界観でしょうか。

日本の国家成立にかかわる神話や史実もうまく援用されているようです。

おそらく渡来系である弥生民が、土着の縄文民を駆逐し、社会の下層におしこめつつ新政府を築き、古事記や日本書紀などの“歴史”で身を飾っていくことを下敷きにしているんでしょう。

それにしても、短槍の使い方、戦い方など、戦闘場面の描写はどうやって勉強したのかなあ。

世界観がよくても、そういう細部のリアリティーがしっかりしていないと小説は成功しないので、その点でもすごいと思いました。

おかしな表現だけど、児童向けのファンタジーを読んでいるというより、三国志を読んでいるような、手に汗握る面白さでした。

 

これから、貸し出しカウンターにアラフォー美人がいる市立図書館へ行ってきます☆