大東和重さんの新刊『台湾の歴史と文化〜六つの時代が織りなす「美麗島」』をご恵贈いただきました。

少し前に届いていたのですが、大切にゆっくりと読んでいました。

 

比較文学・比較文化をご専門とし、現在は関西学院大学法学部・言語コミュニケーション文化研究科教授でいらっしゃる大東和重さん。

1999年に初めて台湾を訪れ、台南に2年滞在されたなかで、台南の魅力に惹きこまれたとのこと。

台南から見た台湾の歴史と文化が、本書には多く紹介されています。

 

 

 

安平、神農街、呉新栄、王育徳、台南二中、国分直一、水仙宮市場、葉石濤……。

台南を代表するキーワードがずらりと並んでいます。

知っていることに知らないことが加わり、私のなかで、より体系化した形で台湾を認識することができた一冊でした。

 

「〜世紀の変わり目に、たった二年間住んだだけの、台南。しかし、一九三〇年代の姿をとどめる駅の構内にたたずんでも、民権路を歩き萬川号に立ち寄っても、成功大学の榕樹園を散歩しても、私がこの世に生を享けた意味の、大きな部分が、この街と結びついている、と思う。離れて二十年経ったが、街の空気が大きく変わらないから、そう思うのか。〜」

 

筆者のあとがきになんとなく同じ気持ちになりました。

台南という場所は、台湾の歴史が始まったところであり、いつの時代にも、誰をもすんなりと受け入れてくれる、そんな懐が大きく、深い街なのだと改めて実感しています。

 

尚、大東和重さんの台南に関するご著書は以下のものがあります。(共に関西学院大学出版会)

台南文学の地層を掘る:日本統治期台湾・台南の台湾人作家群像

台南文学:日本統治期台湾・台南の日本人作家群像