台湾のドキュメンタリー映画はかなり面白い!
中でも、ヤン・リージョウ(楊力州)監督は、20年以上に渡り、ドキュメンタリー映画を撮り続けているベテランです。
作品には、高齢者を描いた《被遺忘的時光》や《青春啦啦隊》、2009年に台湾中南部を中心に起きた大規模水害のその後を描いた《拔一條河》、金馬獎50周年を記念して作られた《我們的那時此刻》など、数々の話題作があります。
この度、監督の最新作『台湾、街かどの人形劇』(原題:紅盒子)が日本公開されることになりました。
内容は、伝統人形劇ポテヒ(布袋戯)の人形遣い、陳錫煌さんに10年間密着したドキュメンタリー。
昔は街かどや廟に行けばよく見かけた布袋戯ですが、今は後継者が減り、存続の危機を迎えています。
台湾語と共に演じ続けられてきた布袋戯。
映画を通して、布袋戯という文化が、台湾が歩んできた歴史や時代の変化に翻弄され続けた側面を見ることができます。また、中華圏における「家長」の重みを感じることができるかもしれません。
この映画に、光栄にも、コメントを寄せる機会を頂きました。みなさん、是非劇場に足をお運びください!
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私が幼少時に暮らした台北で、布袋戯の上演を楽しみにいつも近所の廟に出かけた。ところが、いつの頃からか姿を消してしまった。その時の記憶が、スクリーンを通して一気に蘇った。まるで生きているように見える人形。陳錫煌の「双手」によって操られる精密極まりない動きには、台湾社会で長く伝承されてきた技術の凄さと美しさが凝縮されている。布袋劇の神とも称された父を乗り越えようとする彼の飽くなき探究心、布袋戯を愛する心、優しい笑顔は、見るものに大きな感動を呼び起こすだろう。
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