舞台「時光の手箱」上演から一週間が経ちました。
上演前、台湾のほぼ全ての新聞や主要メディアに紹介していただき、出演者一同とても喜んでいました。
現在は、実際に見に来てくださったお客様や、劇評が気になるところですが、台湾で上演後の報道を行うところがあまりないことに気がつきました。
 
私は以前、扇田昭彦さんをはじめとした演劇評論家が書かれた劇評を読んだり、月刊誌のシアターガイドを購入し、見つけた面白そうな舞台を観に、出かけたりしていました。
日本では、劇評家の情報から、興味を持って劇場に足を運ぶという流れがあり、時には劇作家や演出家、役者が酷評を受け、その後の自分たちの作品作りに役立てることができます。
 
一方、台湾では報道は上演前に集中し、”その後”が極端に減る傾向にあると思うのです。
 
個人的には、役者として、自分の出演している舞台を客観視することはなかなかできないので、やはり劇評や来場者の意見を聞いたり、見たりする場が多いと、とても助かります。
 
 
ところで、日本では演劇に対し、文化庁の芸術選奨や民間が創設した紀伊國屋演劇賞など、様々な賞が設定されています。それでも、映画界以上に確固とした、権威ある演劇賞は見当たらないのが実情ですが、台湾は日本以上に、芸術に対する賞が少ないのです。文学に対しても同じことが言えるのではないでしょうか。
 
舞台稽古中、台湾の小劇場について仲間に聞いたところ、”台湾で小劇場は死滅した”と言われたことがありました。日本全国には多くの小劇場があり、たくさんの演劇人がいるので”羨ましい”、とも言われました。
逆人私が見たところ、台湾の舞台役者はプロとして舞台に立っている人が多く、日本では、舞台役者として生計が立てられる人は、ごく一部に限られているのではないでしょうか。
 

台湾と日本の演劇環境、どちらにも良し悪しがあると思いますが、役者が舞台を好きなことに変わりはありません。

近年は演劇を通しての日台交流も盛んになってきているので、もっと日台合作の舞台が増えればいいのに、と思っております。

 

と言うことで、数少ない上演後の報道が出ました。
なかなか良い評判ですが、改善すべき点も指摘されており、とても嬉しいです。
今後は台湾南部や日本での公演の実現に向け、頑張りたいと思います。

掀開歷史的黑洞《時光の手箱:我的阿爸和卡桑》