台湾で日中合作恋愛ミステリー映画「真夜中の5分前」を見た。

台湾の俳優•張孝全(ジョゼフ•チャン)が大好きなので、「彼が出演しているミステリー映画」という予備知識だけで見に行った。
席につくと、若い人が多いのに驚いたが、日本の有名な行定勲監督の作品だと知り、さらに驚いた。


舞台は上海。
小さな街の時計屋さんに時計修理師の阿良(リョウ)という日本人青年がいる。
仕事が終わり、プールで泳いでいた阿良は、美しい中国人女性の若藍(ルオラン)と出会い、次第に惹かれて行く。
若藍には双子の妹で人気女優の如玫(ルーメイ)がいる。如玫は挑発的で派手な外見に加え、映画監督の婚約者天倫(ティエルン)がいて、シャイでもの静かな若藍とは対照的だ。
そして、ひそかに天倫に恋心を寄せている若藍。

如玫と天倫が結婚する前に、モーリシャスに旅行に出かける姉妹。
不幸にも船が事故に遭い、片方が亡くなってしまう。

戻ってきたのは双子のうち、如玫を名乗る方だった。

予定通り天倫と結婚する如玫。

しかし。。。
本当に戻ってきたのは如玫なのか。それとも実は若藍だったのか。

二人の女性に翻弄される阿良と天倫。



答えは、映画を見終わった観客自身が決めることなのかもしれない。

本作は本多孝好の同名人気小説を映画化したものだ。

「映し出されている上海の風景、例えば部屋の中にいても、日本とは違って、少し若干暗いという印象を持ちました」
中国語の台詞を流暢に話し、インタビューに答える阿良を演じた三浦春馬さんの言葉が印象に残った。

以前、日本の友人と台湾に行ったとき、その友人が、招かれた台湾人の家の暗さに驚いていたことを思い出した。
確かに、日本の明るさに慣れてしまうと、中国や台湾は暗く感じる。だがその分心が安らぎ、包み込まれる優しい空間がそこにあると思う。
いつの間にか日本は蛍光灯の明るさがメジャーになり、白熱灯の持つオレンジの暖かみが薄れてしまったのだろう。

租界地として早くから開発され、異国情緒溢れる上海に、アンティークの時計屋がすんなりと馴染んでいる。
振り子時計のカチカチカチというゆったりとした音とともに、謎解きを進めていく上質な大人の映画だ。


真夜中の五分前公式サイト