ライフ•オブ•パイ

ライフ•オブ•パイという映画が先月末から日本で公開された。
この映画、予告で監督の名前はだされないのだが、実はグリーンデスティニー、ラストコーションやブロークバックマウンテンで知られている台湾人の映画監督アン•リーの最新作である。

台湾では昨年から公開されていて、すでに大ヒットとなっていたが、今年の1月中旬にアン•リーが台湾に凱旋帰国し、更に観客が増えたとか。

物語の内容をざっくり言うと、家族で動物園を経営していたインド人の少年•パイが、動物と家族と一緒にカナダに移り住むことになり、貨物船に乗り込むが、舟が嵐で沈没してしまう。
たった一艘の救命ボートに残ったのはパイと数匹の動物たち。
壮絶なサバイバルが始まるのだが、最終的に生き残るのは虎とパイのみ。
何故一人と一匹だけが残ったのか。

ただのメルヘン映画だと思っていたが、実はもっと奥深かった。
生ある物の生きることへの執着。
人と動物の交流。
人生への問いかけ。
考えさせられることが多い。

アン•リー監督は文学を実にうまく映画に持ち込む。物語の最後を素直で感動的なフィナーレのシーンとしないことが多く、この世の無情や不条理を表現している。
この映画もただのアドベンチャー映画として終わらせていない。
そしてこの遭難した船が日本製という設定のため、最後には事故調査委員会の人として日本人も登場する。

ちなみにこの映画、海での遭難シーンは全て台湾で撮影された。
台湾の台中に総額1.5億台湾ドルをかけ、世界一の人造池を作り、様々な波を起こせるように設計したのだ。
今後はこの映画撮影セットを含め、観光地として開放する予定もあるとか。

最近の映画としてはちょっと毛色が違うと思うので、お時間あるかたは是非ご覧になって下さい。