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稽古の休みの日、映画を見て来ました。
タイトルは
桃姐~A Simple Life~

孤児であった桃姐(デニー•イップ)は13歳で香港の裕福な梁家の住み込みのお手伝いさんになり、以来60年間に渡り、梁家の家事、子守り全てを仕切っている。
雇い主だったご主人は亡くなり、他の家族も中国や海外に渡り、梁家に残ったのは生まれた時から桃姐が面倒をみていたRoger(アンディー•ラウ)だけとなる。
Rogerを我が子のように育てて来た桃姐は料理が得意で、阿吽の呼吸でRogerと生活をしているが、ある日突然脳卒中で倒れてしまい半身不随になる。お手伝いさんとして働けなくなった桃姐は、身寄りもないため、自ら養老院に入りたいと申し出る。
想像していた以上に惨めな養老院生活だったが、Rogerに迷惑をかけないよう、必死にそこで生きて行こうとする桃姐。
今まで桃姐がいることが当たり前で、洗濯機の廻し方も知らなかったRogerは徐々に桃姐の大切さを再確認していくという物語。

老人ホームでの撮影は数人の役者さん以外、全て本当にその施設にいるご老人が登場する。桃姐とRogerが実際に住んでいた部屋で撮影し、ソファ、キッチンセットもそのまま使い、桃姐が良く買い物に行った市場なども実際の場所だそう。

ドキュメンタリー映画ではないが、そんな細部のリアリティがこの映画に深い深い人情味を感じさせるスパイスになっているのだと思った。

桃姐が老人ホームから家に戻り、箱からRogerが生まれたときの写真や着ていた服、写真などを取り出し、懐かしそうにその時の光景をRogerに話しているシーンは、私にとって一番忘れられない部分。
まるで「私の箱子」を書いたときのように涙が出て止まらなかった。
そして桃姐が作ってくれた料理からRogerの過去の記憶、気持ちが変化していくのも心に沁みた。


映画のチケットを買おうと並んでいた時、偶然にも後ろに並んでいた老人から声をかけられた。
ご老人「何の映画を見るの?」
私「桃姐です」
ご老人「そう。それこの間見たのよ。本当に良い映画で心が温まる物語だった。でも、高齢の私には老人ホームのところは辛くて目を背けずにはいられなかった。。。」

確かに、老人ホームでの日々の描き方は実にリアルで多くを考えさせられた。
この映画から、香港も高齢化社会を迎えている事がわかり、見終わったあとしばし考え込んでしまった。
本当に良い映画だった。


それにしても桃姐を演じたデニー•イップ。映画では本当に老けた老人だったのに、この映画で受賞したときのネットの写真を見てその美しさにびっくりしました。
日本での公開があれば、絶対に見てほしい一本です。