◆第95回高校野球選手権 愛媛大会 ▽2回戦 帝京五1─7済美(17日・坊っちゃん) 今春センバツで、2年生としては最速の152キロをマークした済美(愛媛)の安楽智大(2年)が、今夏初登板で怪物ぶりを見せつけた。自己最速を1キロ更新する153キロをマークするなど、帝京五打線から14奪三振で1失点完投。進化を遂げた剛腕が、春はあと一歩届かなかった日本一へ向け好スタートを切った。
灼熱(しゃくねつ)のマウンド上で、安楽は懸命に腕を振った。全身を使うフォームに帽子は何度も飛び、同時に大粒の汗もしぶきとなって舞った。9回、最後の打者への141球目。148キロで空振りを奪い、14個目の三振締めで1失点完投。「直球中心にどんどん押して行けた。初戦でチームとしても重圧があったので、自分の右腕で貢献できて良かった」と笑顔で汗をぬぐった。
自らを超えた。4回2死からの4球目、内角低めへの地をはうようなボールは自己最速153キロを計測。見逃し三振に打ち取ると、6、7回にかけては5者連続三振。「まっすぐで空振りを取れて良かった。(153キロは)低めで出た数字なので良かった」。球速には並々ならぬこだわりをもつ16歳はうれしそうに笑った。
準Vに終わった春は3連投を含む5試合で772球。投げすぎだと国内外で論争を呼び、米国では「クレージーだ」とまで評された。センバツ後には米国メディアが鉄腕の密着取材に訪れるなど、意外な形でも注目を集めた。しかし本人はどこ吹く風だ。「球数のことは気にしません。(OBの)福井さん(優也=現広島)も5試合で704球(実際は705球)投げていたんです。それが日本の高校野球だと思うので」。当然とばかりに雑音を封じ込めた。
そんなタフネス右腕も、大会直前まで苦しんでいた。「6月は全然だめで、正直不安もありました」。右手首の故障、注目度に対する重圧。球速を追い求めるあまり投球フォームのバランスを崩し、練習試合では打ち込まれた。上甲正典監督(66)からは「エースのお前がそんなことでどうするんだ」と厳しく叱咤(しった)もされた。
それでも夏の初戦に合わせてきたのはさすが。精神面での成長が、快投につながった。「春の屈辱を晴らすために夏がある」と言い切った。見据える先は甲子園の決勝の舞台。安楽の長い夏が始まった。
◆今春センバツの安楽 2回戦の広陵戦で13回232球を投げ完投勝ち。2年生としては大会最速の152キロで衝撃デビューを果たすと、準決勝までの4試合を完投。自身初の3連投となった決勝の浦和学院戦は疲労のため142キロを出すのがやっと。6回12安打9失点で無念の降板をし、試合も1―17で大敗した。5試合で772球を投げ、国内外で論争を呼んだ。
(2013年7月18日06時05分 スポーツ報知)