◆第95回高校野球選手権南北海道大会 ▽1回戦 札幌日大2—4北海道栄(17日・札幌円山) 北海道栄が1回戦で昨夏準Vの札幌日大に4—2と競り勝った。先発した背番号10の左腕・菊谷旭投手(3年)が7安打2失点で公式戦初完投勝利。昨夏、秋と道大会で敗れた雪辱も果たした。

 最後の打者を打ち取った北海道栄の左腕・菊谷は、少し控えめに左手を挙げた。公式戦最長の9回を投げ、初完投勝利。「コースにしっかりと投げられた。(2失点した)9回は気合で投げました」と振り返った。

 初回に2三振を奪う上々のスタートを切ると、2回も2奪三振。小気味良い投球で攻撃にリズムを作った。7回まで2安打7奪三振とほぼ完璧な投球。9回に安打と失策などで2点を許したが、渡辺伸一監督(41)は「粘り強く投げてくれた」とたたえた。

 雪辱の機会を待っていた。昨夏の南大会は1—9、昨秋も2—14で札幌日大に敗れた。今大会、抽選前から対戦を熱望。渡辺監督も「絶対に越えないといけない壁」と選手に話していた。

 悔しさも力に変えた。最終学年として迎えた今夏。菊谷が目指したエース番号は植田敬太(3年)に背負われた。室蘭地区予選は4投手が登板し、3試合で20回を無失点。渡辺監督は「甲乙付け難い。菊谷の先発は朝決めました」と調子の良さを優先した。その起用に応えた菊谷も「植田は仲も良いけどチーム内ではライバル。でも今は、10番でもやるべきことは変わらないと思う」と、最後の夏への思いを語る。

 「旭」と書いて「あきら」と読む名には、父・潔さん(54)の「親しみやすい名前をつけたい」という思いが込められている。幼少期から物静かな性格だが「昔からテレビゲームとかよりも野球。野球が全てでした」と潔さん。胸の内には熱い思いを秘める。

 次戦はセンバツ出場校の北照戦。「投手一人一人が行けるところまでいければ」と菊谷。チームを勢いづけた左腕が、さらなる活躍を誓った。

 ◆菊谷 旭(きくや・あきら)1995年4月21日、増毛町生まれ。18歳。増毛小1年から増毛ファイターズで野球を始め、増毛中では投手。北海道栄に進学後は、2年夏の地区予選で、背番号11番で初めてベンチ入り。左投左打。179センチ、73キロ。

(2013年7月18日06時00分 スポーツ報知)

 ◆第95回高校野球選手権 広島大会 ▽2回戦 新庄6─0海田(17日・三次) 広島のドクターKが奪三振ショーを演じた。新庄の今秋ドラフト候補左腕・田口麗斗(かずと=3年)が初戦の海田戦で8回を3安打無失点、15奪三振。「東の松井、西の田口」の高評価を受ける170センチエースが、春夏通じて初の甲子園初出場へ好発進した。

 今夏のヒーロー候補が評判通りの好投を披露した。最速145キロの直球とキレのあるスライダーを低めに集め、2回以降は三塁を踏ませず。103球でまとめる内容にも「立ち上がりを修正してきたい」と、まず反省点を口にした。

 今春県大会は30イニングで49K。スライダーが得意球なだけに本人は「(桐光学園の)松井に負けたくない」と東のドクターKに闘志をむき出しにする。広島商を率いて春夏2度、甲子園に導いた迫田守昭監督(67)が「これまでで間違いなくNO1」と称するサウスポーが、全国の晴れ舞台を目指す。

(2013年7月18日06時00分 スポーツ報知)

 ◆第95回全国高校野球選手権大会 山梨大会 ▽2回戦 富士河口湖5―2増穂商(16日・小瀬) 富士山パワーで、白星スタートだ。6月に世界文化遺産登録が正式に決まった「富士山」。その麓にある富士河口湖が「俺たちも続け!」と好発進した。先発右腕・瀧口仁(3年)は6回2安打10K。リリーフした左腕・細川祐哉(3年)は3回2安打5Kと、2人で15Kを奪い増穂商を5―2。初戦で春季県大会準Vの実力を見せつけた。

 山梨・南都留郡富士河口湖町にある同校から、富士5合目まで車で30分もかからず、富士山に最も近い高校と言われる。7月の山開きから登山客が増え、町は記念行事が行われるなど、お祝いムードが続いている。「僕は5合目までしか行ったことがないですが、うれしかったです」と、生まれも育ちも同町の細川。毎日、グラウンド正面に雄大な姿を仰ぎ見ながら、練習してきた。

 今春、12年ぶりの関東大会出場を果たした普通の公立校に、地元の期待も大きくなるばかり。「今度は僕たちが野球を通して町を盛り上げたい」と、細川を始めナインは野球で地域に恩返しすることを夢見ている。

 春夏通じ初めて甲子園出場をつかむには、昨夏甲子園4強の東海大甲府や春の県大会決勝で敗れた山梨学院大付など強豪校が立ちはだかる。だが、左右Wエースを中心とした守りの野球で「やっと、頂上が見えてきたかな」と羽田裕監督(57)は手応えをつかむ。今夏の世界遺産フィーバーは、選手たちがしっかり引き継いでいく。

(2013年7月17日06時00分 スポーツ報知)

 ◆第95回全国高校野球選手権大会 埼玉大会 ▽3回戦 花咲徳栄3―0西武学園文理(16日・大宮公園) 埼玉は春夏連続出場を狙う花咲徳栄・関口明大投手(3年)が右手のマメがつぶれ、流血しながら1安打完封し、4回戦にコマを進めた。

 ユニホームのズボンは、真っ赤に染まっていた。「痛かったけど気合で投げた」。花咲徳栄・関口の右人さし指は、マメがつぶれていた。それをものともしない精神力で、わずか1安打、4奪三振で完封。三塁を踏ませない力投だった。

 5回の先頭打者。「朝からすでにつぶれかけていた」という血マメが、ついに破れた。血染めのボールを見た球審が駆け寄ったが、背番号10は「大丈夫です」と言い切った。今夏、センバツで背負ったエースナンバーを木暮樹(いつき、3年)に譲った。「悔しい気持ちはある。木暮よりもいい投球をして、1回でも多く投げたい」。負けん気が原動力となっていた。

 もう一つ、マウンドを降りたくない理由がある。今春の関東大会初戦で延長12回まで投げ合って負けた、桐光学園・松井裕樹投手(3年)の存在だ。青葉緑東リトルシニアのチームメートで、誰よりも怪物の実力を知っている。だからこそ「投手としては絶対に勝てない。だけど甲子園でチーム一丸となって勝ちたい」と闘志を燃やす。逆境に負けない右腕は2年ぶりの夏の大舞台へ向け、チームを導いていく。

(2013年7月17日06時00分 スポーツ報知)


 ◆第95回全国高校野球選手権大会 徳島大会 ▽1回戦 徳島市立0―15池田=6回コールド=(16日・オロナミンC) やまびこ打線が復活した。徳島では、池田が14安打15得点の猛攻で徳島市立に6回コールド勝ち。92年夏以来、21年ぶりの甲子園出場へ好スタートを切った。

 「やまびこ打線」が復活を遂げた。池田ナインが響かせる金属音は鳴りやまなかった。7点をリードした6回1死一、二塁から、7連続長短打でこの回一挙8得点。計14安打、14盗塁で15―0の6回コールド勝ち。21年ぶりの甲子園へ、古豪が好発進した。

 春夏通じて3度の甲子園優勝を果たした故・蔦文也監督の時代、池田ナインは同監督の自宅敷地内にある「蔦寮」で暮らし、野球漬けの日々を過ごした。だが、寮を切り盛りしてきた同監督の妻・キミ子さんの高齢もあり、2000年限りで実質、生徒の受け入れをやめていた。そんななか、やまびこ復活を期待する地元の会社社長が4階建てマンションを無償提供。会社名にちなんで名付けられた「ヤマト寮」には、昨年4月から全部員59人中20人が暮らしている。

 2安打を放った上徳拓馬(3年)は「寮がなかったときは1時間半かけて電車で通学する者もいた。今は終電を気にせず満足いくまで練習できる」。寮ができて以降、朝は6時20分から40分間のティー打撃、夜も9時まで練習できるようになった。その後は近隣の温泉に無料で入浴できるなど、最高の環境が整った。岡田康志監督(52)は「ヤマト寮は、蔦寮に続く3代目。偶然だけど初代の寮が大和寮という名前で、その頃に甲子園優勝しているから縁起もいい」と笑顔を見せた。

 昨秋は26年ぶりに四国大会で1勝。準々決勝では済美と対戦し、今年のセンバツ準優勝で2年生としては最速の152キロをマークした安楽智大を苦しめ3―4と善戦した。自慢の打撃力は復活の兆しを見せていた。

 夏も初戦からその威力を十分に発揮した池田。岡田監督は「このチームはチャンス」と、甲子園でやまびこを響かせる打線の姿を思い浮かべた。

 ◆蔦文也監督とやまびこ打線 74年春に選手11人の「さわやかイレブン」旋風で準優勝し、82年夏に初優勝。まだ主流ではなかった筋力トレを積極的に取り入れ、6試合で85安打、本塁打7本など当時の大会新記録を樹立したパワー野球は多くの指導者に影響を与えた。山あいのグラウンドに金属バット音を響かせることから「やまびこ打線」の異名を取り、83年春には水野雄仁(元巨人)を擁して夏春連覇。「攻めダルマ」と呼ばれた名将は春2度、夏1度全国制覇。通算37勝11敗は歴代7位。92年に勇退、01年に77歳で死去した。

(2013年7月17日06時04分 スポーツ報知)