※BGMでも聴きながらお読み下さい。
たしかなこと 平原綾香
僕が此所の実家に帰って来た時、僕の身体は本当にガリガリ
に痩せていました。
今の自分の姿からは想像できないくらいです。
あの頃は、いろいろなことが重なって、食べることさえ十分
に出来ていなかったのだと思います。
そんな僕にとって、実家に帰って来て何より懐かしかった
ものの一つが、母の作る料理でした。
母が作ってくれたご飯を食べる。
それが何とも言えず嬉しかった。
「やっぱり母親の料理はいいな」
そんな気持ちもあったのでしょう。
僕は食べました。
それこそ、ガツガツと食べました。
痩せていた身体を元に戻したいという気持ちもあったと思
います。
しかし、人間というのは不思議なもので、最初は「少し太ら
なければ」と思っていたものが、いつの間にか「太り過ぎ」
に変わってしまうことがあります。
僕の場合も、まさにそうでした。
その後は、飴を舐めたり、お菓子を食べたりすることも増え
ていきました。
気が付けば、帰って来た頃から15キロ以上も体重が増えて
いました。
15キロです。
改めて数字にしてみると、かなりのものです。
顔だけを見ると、以前とそれほど変わっていないように見え
るかもしれません。
自分でも鏡を見ると、「そんなに太ったかな」と思うことが
あります。
ところが、問題はお腹です。
お腹の脂肪が、とんでもないことになっています。
以前の僕のお腹とは、まるで別物です。
これは何とかしなければいけない。
そう思うようになりました。
今、僕は少しずつ減量に挑んでいます。
ご飯の量を減らしています。
そして、飴やお菓子を食べる量も減らしています。
本当のことを言えば、飴もお菓子も完全に止めた方がいいの
かもしれません。
特にお菓子については、僕自身も「もう止めよう」と決めま
した。
これからは、なるべく食べないようにするつもりです。
一方で、飴については、完全にゼロにするのではなく、口寂
しい時にほんの少しだけ舐める程度にしようと思っています。
今までのように何個も何個も食べるのではなく、「少しだけ」
という自分なりのルールを作る。
それなら何とか続けられるのではないかと思っています。
飴を減らす理由は、単純に痩せたいからだけではありません。
僕には糖尿病のこともあります。
以前、糖尿病になったことがありますから、また同じことを
繰り返さないように気を付けなければなりません。
「大丈夫だろう」
そう思って何も考えずに食べ続けるのは、もう止めなければ
いけないと思っています。
もちろん、ここまで太ってしまった原因を考えれば、僕自身
の節制のなさもあります。
これは認めなければいけません。
目の前に飴があれば舐める。
お菓子があれば食べる。
そして、「今日はこれくらいならいいだろう」と自分に言い
訳をする。
そんなことを繰り返しているうちに、15キロ以上も体重が
増えてしまったのです。
だから、自分自身を反省する必要はあります。
でも、それだけではないとも思っています。
僕にはストレスがあります。
それも、かなり大きなストレスです。
毎日の母の介護です。
母は、今では自分で出来ることがかなり限られています。
茶碗を洗うこと。
洗濯物を畳むこと。
それくらいです。
それ以外のことは、僕がやらなければなりません。
特にお風呂は大変です。
母をお風呂に入れる時には、僕がほとんどすべて介助しなけ
ればなりません。
そして、入浴が終わったら、それで終わりではありません。
母の身体を僕が全部拭いてあげなければなりません。
オムツを用意する。
パジャマを準備する。
明日の洋服を用意する。
下着の着替えを準備する。
飲む水も僕が準備する。
他に薬の振り分けから準備をし朝・昼・晩・寝る前と一回
ずつ準備する。
母が必要とするものを一つ一つ用意していかなければなりま
せん。
そうして考えてみると、母が自分で出来ることは本当に少な
くなりました。
だから僕は、母の介護をしながら、自分自身の身体のことも
考えなければならないのです。
これは、簡単なことではありません。
僕自身も病気を抱えています。
身体の痛みもあります。
心の病気とも長く付き合っています。
そんな自分が、毎日のように母の介護をしている。
疲れない方がおかしいのかもしれません。
身体が疲れるだけなら、まだ何とかなるのかもしれません。
本当に怖いのは、心まで疲れ切ってしまうことです。
疲れてくると、人間はどうしても楽な方へ行きたくなります。
甘いものを食べたくなる。
飴を舐めたくなる。
お菓子を食べて、少しだけ気持ちを紛らわせたくなる。
僕の場合、それが一つのストレス解消になっていたのだと思
います。
だから、「自分はなんて節操がないんだ」と自分を責める
だけでは、本当のところは見えてこないのかもしれません。
食べ過ぎたことは、自分の責任です。
でも、その背景には、毎日の疲れや介護のストレスもある。
その両方を自分で認めた上で、これからどうするかを考え
なければならないと思っています。
僕は、痩せたい。
以前の身体に少しでも近づきたい。
特に、この増えてしまったお腹の脂肪を何とかしたい。
そして、糖尿病についても、再び悪くならないように気を
付けたい。
だからと言って、一気に何もかも我慢するつもりはありま
せん。
急に全部を禁止して、それが苦しくなって、また元に戻って
しまっては意味がありません。
ご飯の量を少し減らす。
お菓子は止める。
飴は必要以上に食べない。
口寂しい時には、ほんの少しだけ。
そんなところから始めてみようと思っています。
そして、体重だけではなく、自分の生活そのものを少しずつ
見直していきたいと思います。
僕は今まで、自分の身体を随分と酷使してきました。
病気になっても頑張る。
痛くても頑張る。
母のために頑張る。
やることがあれば、自分のことを後回しにする。
そんな毎日です。
でも、自分の身体を大切にしなければ、母の介護を続ける事
も出来ません。
母の薬の準備をして自分は薬を飲むのを忘れる日が多くなり
ました。要注意です。
母のためにも、自分自身の身体を守らなければならない。
そう考えるようになりました。
15キロ以上増えた体重を、すぐに元へ戻すことは出来ない
でしょう。
ましてや、僕の身体にはいろいろな事情があります。
だから、焦らずに少しずつです。
今日より明日。
明日よりその次の日。
ほんの少しずつでも、自分の身体を取り戻していければいい。
以前のような身体に戻ることが出来たら、それはきっと嬉し
い事です。
でも、それ以上に大切なのは、これから先も母のそばにいて
そして自分自身も倒れずに毎日を過ごしていくことです。
僕は母を支える。
そして、自分の身体も支える。
その両方を、これからは考えていかなければならないので
しょう。
「食べ過ぎた自分が悪い」
そう言って終わらせるのではなく、
「なぜ食べ過ぎてしまったのか」
そこまで考えてみる。
そうすれば、これから先の自分の生活も少し変わってくるか
もしれません。
15キロ以上増えてしまった体重。
大きくなってしまったお腹。
それを見るたびに、「どうしてこうなったんだ」と思うこと
もあります。
でも、これも今までの僕が生きてきた結果です。
だったら、これから少しずつ変えていけばいい。
僕は今、そう思っています。
無理をせず、焦らず、でも諦めず。
甘いものに逃げたくなる日があっても、自分を責め過ぎない。
それでも、少しずつ節制する。
母の介護で疲れ切った日には、「今日もよく頑張った」と
自分自身にも言ってやる。
そしてまた明日から、出来ることを一つずつやっていく。
僕の身体は、僕にしか守れません。
だからこれからは、母を大切にするのと同じように、自分の
身体も少しだけ大切にしてやろうと思います。
15キロ増えた体重を、いつかまた少しずつ減らしていく。
そして、以前のように「お腹がすっきりしたな」と思える日
を迎える。
それを、これからの僕の小さな目標にしたいと思います。
「幸せはそしてあなたの中に」。
その幸せを見つけるためにも、まずは自分自身の身体を大切
にすることから始めようと思います。
May Be The Best Year Of My Life.







