※BGMでも聴きながらお読み下さい。
祭りばやしが聞こえる萩原健一
先日、完全に曜日感覚というか、カレンダーを見ることすら
忘れていました。
連休だということをすっかり忘れて、いつものように病院へ
行ったのです。
病院に着いてから気が付きました。
「あれ、今日は連休じゃなかったっけ?」
でも、午前中は診察をしていたようでした。
当然のことながら午後からは休診。
「そうか、今日は連休中だったんだ……」
自分でも呆れてしまいました。
最近は、病院や介護関係の予定、母のこと、自分のことなど
いろいろな予定が頭の中に入っていて、カレンダーを見てい
るようで、実は曜日や休日まできちんと把握出来ていない事
があります。
この日も、本当は病院が終わったら予定がありました。
母がデイサービスに行っている日だったので、病院が終わっ
たら母の様子を見に施設へ行く。
その帰りにスーパーへ寄って買い物をする。
そして家に帰る。
そんな予定でした。
一見すると、たいした予定ではありません。
でも、僕にとっては、それだけでも結構な仕事なのです。
何しろ、母がデイサービスに行っているからといって、僕
まで休めるわけではありません。
母が施設に行ってくれている時間は、僕にとって貴重な時間
です。
本当なら、「今日は母がいないから、少しゆっくりしよう」
と思いたい。
でも実際には、病院へ行ったり、母の様子を見に行ったり
買い物をしたり。
結局、やることがあります。
そして、この日もそうでした。
病院を終えてから、母の様子を見に施設へ行きました。
ところが、ちょうどお昼寝の時間だったようです。
母には会えませんでした。
せっかく行ったのに、顔を見ることも出来ない。
まあ、母がゆっくり休んでいるのなら、それはそれで良い
事です。
無理に起こしてまで会う必要もありません。
結局、その日にまともに出来たことと言えば、買い物くらい
でした。
病院へ行って、施設へ行って、スーパーで買い物をして帰っ
てきただけ。
言葉にしてしまえば、それだけです。
ところが――。
家に帰ってきた僕は、もう疲れ切っていました。
「こんなことで疲れているのか」
自分でもそう思うくらいです。
そして、家に帰ってからパソコンで大河ドラマを観ていま
した。
大河ドラマは僕にとって、毎週の楽しみの一つです。
ところが、その楽しみの真っ最中に、何と椅子に座ったまま
寝てしまいました。
画面を見ながら、
「眠いな……」
と思ったところまでは覚えています。
でも、次に気が付いた時には、
「ハッ!」
と目が覚めました。
「しまった、寝ていた!」
と思った瞬間、時計を確認しました。
幸いなことに、母が施設の車で帰ってくる前でした。
本当に助かりました。
もし母が帰ってきてからも僕が椅子で寝ていたら、母の事を
迎えることも出来なかったかもしれません。
それくらい疲れていたのでしょう。
改めて考えてみると、僕は相当疲れているのかもしれません。
そして、そんな僕にとって、母がデイサービスへ行ってくれ
ることは、単に母のためだけではなく、僕自身にとっても大
きな意味があります。
母が施設で過ごしている間、僕には多少なりとも自分の時間
が出来ます。
もちろん、その時間を全部休めるわけではありません。
病院にも行かなければならない。
買い物もしなければならない。
母の様子を気に掛けることもあります。
それでも、母が施設にいるというだけで、僕の肩に掛かって
いるものが少し軽くなるのです。
そして今回、何より嬉しかったのは、母がデイサービスから
帰ってきた時の表情でした。
今回が母にとって二度目のデイサービスです。
前回は初めてということもあって、緊張していたのでしょう。
「次からは行かない」
そんなことまで言っていました。
僕は正直、心配していました。
母は人見知りをする性格です。
自分から積極的に人の輪の中へ入っていくタイプでもあり
ません。
だから、施設で一日を過ごすことが母にとって負担になって
しまわないかと心配していました。
ところが今回は違いました。
母は、「楽しかった」と言いました。
そして、表情も明るかった。
前回のように「もう行かない」と言うこともありませんで
した。
これは本当に良かった。
マジで良かったです。
僕は心からホッとしました。
しかも今回は、入浴までしてきました。
これは僕にとっても、かなり助かります。
家に帰ってから母を入浴させる必要がない。
介護する側にとって、入浴というのは結構な負担です。
特に僕は腰と膝が痛いので、母の入浴介助は身体的にも
大変です。
だから、デイサービスで入浴まで済ませてくれたことは
本当にありがたいことでした。
ただ、ここで一つ失敗しました。
まさか母が入浴までしてくるとは思っていなかったのです。
そのため、入浴セットを持たせていませんでした。
それだけではありません。
母には褥瘡があるため、そのための薬やガーゼ、消毒薬など
も必要です。
入浴はしないと以前は言っていたので今回は、それらを持た
せる準備をしていませんでした。
次回は、きちんと準備しなければなりません。
次のデイサービスは29日です。
今度は入浴セットを用意する。
そして、褥瘡用の薬、ガーゼなども忘れずに持たせる。
今回の経験で、次回から何を準備すればいいのかが分かり
ました。
これも一つの勉強です。
そして何より嬉しいのは、母自身が次にデイサービスへ行く
ことを楽しみにしていることです。
これが一番です。
僕としては、母が家で暗い顔をしているよりも、施設で他の
人たちと過ごして、楽しく一日を過ごしてくれた方がずっと
安心します。
家にいると、どうしても僕と二人きりになります。
母は何かと思えば僕を呼びます。
「あれをして」
「これをして」
と、いろいろ指示されることもあります。
もちろん、母に悪気があるわけではありません。
でも、僕も一人の人間です。
ずっと母の相手をしていると、精神的にも疲れてしまいます。
だからこそ、母にとっても僕にとっても、デイサービスと
いう場所が出来たことは大きいと思います。
母は母で楽しい時間を過ごす。
僕は僕で、自分のことをする。
そして、それぞれがまた家に戻ってくる。
そういう時間があってもいいのだと思います。
何より、母が楽しいと思ってくれるなら、それが一番です。
僕がデイサービスを利用してほしいと思う理由は、僕が楽を
したいからだけではありません。
もちろん、僕自身も休みたい。
それは正直な気持ちです。
でも、それ以上に、母自身の世界を広げてほしいのです。
家の中だけで僕と過ごしているよりも、施設で人と話したり
食事をしたり、入浴したり、いろいろなことを経験してほ
しい。
そして、「今日は楽しかった」
と笑顔で帰ってきてほしい。
今回、それが出来ました。
だから、本当に安心しました。
僕も母も、まだデイサービスに慣れているわけではありま
せん。
これからもいろいろなことがあるでしょう。
準備する物を忘れることもあるかもしれません。
僕自身が疲れ切ってしまうこともあるでしょう。
でも、一つずつ覚えていけばいい。
今回の失敗を次回に生かせばいい。
次の29日には、入浴セットも用意して、褥瘡用の薬やガーゼ
もしっかり準備しておこうと思います。
そして母には、
「楽しんでおいで」と送り出したい。
母がデイサービスを楽しみにしてくれるようになった。
それだけでも、僕にとっては大きな前進です。
母が笑顔でいられる。
僕も少し安心出来る。
そして、母が施設で楽しい時間を過ごしている間に、僕も
自分の身体を休ませることが出来る。
そんな関係が出来ていけばいいと思います。
この日、僕は椅子に座ったまま寝てしまうほど疲れていま
した。
でも、母が楽しそうに帰ってきたのを見て、そんな疲れも少
し吹き飛んだ気がします。
母が楽しいのなら、それが一番。
そして僕も、母のいない時間に少しでも自分の身体を休める。
これからは、そんな生活を少しずつ作っていければいいなと
思っています。
次は29日。
今度は忘れ物をしないように、入浴セットも、褥瘡の薬も
ガーゼも、ちゃんと準備しておこう。
そして母がまた、
「楽しかった」
と言って帰ってきてくれたらいい。
それだけで、僕は十分嬉しいのです。
May Be The Best Year Of My Life.









