「病院ばかりの毎日に、母と小さな秋の旅へ」 | 幸せは私の中に そしてあなたの中に。 だけど本当の幸せって何だろう?

幸せは私の中に そしてあなたの中に。 だけど本当の幸せって何だろう?

克服出来ない病は世の中に沢山ある。自分も数々の克服出来ない心の病と身体の病に罹患している。他人の痛み知る努力をし、思い遣りの心で知り応援したい。努力によって人は誰しも大きな失敗でも取り戻せる。努力によって人は誰しも生きる尊厳を取り戻す事ができる。

 

 

 

 

 

※BGMでも聴きながらお読み下さい。

 

 

ありがとう KOKIA 

 

 

 

 

 

秋になったら、母を連れて車で出掛けようと思っています。

 

 

そんなに遠くまで行くつもりはありません。

 

 

母は今、自力で歩くことがかなり難しくなっています。

 

 

以前のように自由に歩ける身体ではありません。

 

 

長時間車に乗っていることも、きっと母にとっては楽なこと

 

 

ではないでしょう。

 

 

そして僕自身も、遠くまで車を運転すれば疲れます。

 

 

だから、遠くへ行く必要はないと思っています。

 

 

近くでいい。

 

 

ほんの少しの時間でもいい。

 

 

秋の清々しい空気を吸いに、近くの観光地へ母を連れて行っ

 

 

てあげたいと思っています。

 

 

それだけでも、母にとっては気分転換になるかもしれません。

 

 

そして僕にとっても、きっと気分転換になります。

 

 

今の僕と母の生活を考えてみると、毎月の予定のほとんどが

 

 

病院で埋まっています。

 

 

僕自身にも病院があります。

 

 

母にも病院があります。

 

 

診察の日、検査の日、薬をもらう日……。

 

 

カレンダーを見れば、病院の予定ばかりが並んでいる。

 

 

もちろん、病院へ行くことは必要です。

 

 

母の身体を守るためにも必要ですし、僕自身の身体を守る

 

 

ためにも必要です。

 

 

だから病院通いを否定するつもりはありません。

 

 

でも、ふと考えることがあります。

 

 

「僕たちの人生は、病院へ行くためだけにあるのだろ

 

 

うか」と。

 

 

病院へ行き、家に帰ってきて、薬を飲み、家事をして、母の

 

 

世話をする。

 

 

そして、また次の病院の日が来る。

 

 

そんな毎日が続いていると、さすがに気持ちまで沈んでしま

 

 

います。

 

 

人生には、病院とは関係のない一日があってもいい。

 

 

いや、病気を抱えているからこそ、そういう一日が必要なの

 

 

ではないかと思います。

 

 

だから秋になったら、母と出掛けたいのです。

 

 

秋の空気を吸いたい。

 

 

秋の景色を母と一緒に見たい。

 

 

紅葉が始まっていたら、

 

 

「綺麗だね」

 

 

と母と話したい。

 

 

それだけでいいのです。

 

 

豪華な旅行なんて必要ありません。

 

 

遠くの有名な観光地へ行く必要もありません。

 

 

近くの観光地でいい。

 

 

車から降りることが難しければ、車の中から景色を見るだけ

 

 

でもいい。

 

 

少し休憩して、何か美味しいものを食べて帰ってくる。

 

 

そんな小さな外出で十分です。

 

 

むしろ、今の僕たちには、それくらいがちょうどいいのかも

 

 

しれません。

 

 

僕には弟がいます。

 

 

弟には本当に感謝しています。

 

 

毎週日曜日になると来てくれて、母の代わりに畑仕事をして

 

 

くれます。

 

 

母が以前やっていた畑を、今度は弟が手伝ってくれている。

 

 

それは僕にとって、本当にありがたいことです。

 

 

弟が来てくれるからこそ、畑も何とか維持することが出来て

 

 

います。

 

 

心から感謝しています。

 

 

でも、一つだけ思うことがあります。

 

 

弟は、日曜日の母しか知らない。

 

 

毎日一緒に暮らしているわけではありません。

 

 

だから、日曜日に見る母と、僕が毎日見ている母には、どう

 

 

しても違いがあります。

 

 

日曜日の母は、弟が来ればそれなりに頑張っているのかも

 

 

しれません。

 

 

でも、僕が毎日見ている母は、少しずつ出来ないことが増え

 

 

ています。

 

 

歩くことも大変になった。

 

 

以前のように畑仕事をすることも出来ない。

 

 

身の回りのことも、僕の助けが必要になってきました。

 

 

入浴の介助をすることもあります。

 

 

薬の準備をする。

 

 

食事のことを考える。

 

 

洗濯をする。

 

 

家のことをする。

 

 

そういう毎日の積み重ねは、実際に一緒に暮らしてみなけ

 

 

れば分からないものだと思います。

 

 

弟を責めているわけではありません。

 

 

むしろ、弟が毎週来てくれることには感謝しています。

 

 

弟にも弟の生活があります。

 

 

毎日来ることが出来ないのも当然です。

 

 

だから、

 

 

「弟には分からない」

 

 

と思うことはあっても、

 

 

「弟は何もしてくれない」

 

 

とは思っていません。

 

 

弟は弟で、出来ることをしてくれています。

 

 

僕は僕で、出来ることをしています。

 

 

それでいいのだと思います。

 

 

ただ、毎日一緒に暮らしている僕だからこそ分かる母の変化

 

 

があります。

 

 

昨日出来ていたことが、今日は出来ない。

 

 

以前なら普通に歩いていた場所を、今では杖が必要になる。

 

 

そんな小さな変化を、僕は毎日見ています。

 

 

だからこそ、母がまだ車に乗って出掛けられるうちに、どこ

 

 

かへ連れて行ってあげたいのです。

 

 

いつまでも出来るとは限りません。

 

 

母の体調がどうなるかは分かりません。

 

 

僕自身の身体だって、いつまで今のように運転出来るか分か

 

 

りません。

 

 

だから、

 

 

「また今度でいい」

 

 

と先延ばしにしたくないのです。

 

 

出来る時に、出来ることをやっておきたい。

 

 

それだけです。

 

 

母には、もっと色々な景色を見てほしい。

 

 

家と病院だけの毎日ではなく、

 

 

「今日はどこへ行くの?」

 

 

と少し楽しみにしてほしい。

 

 

僕も、「今日は母を連れてどこへ行こうかな」

 

 

と考える時間を持ちたい。

 

 

そういう小さな楽しみが、今の僕たちには必要なのだと思い

 

 

ます。

 

 

介護というのは、毎日続きます。

 

 

家事も毎日あります。

 

 

病院もあります。

 

 

薬もあります。

 

 

疲れる日もあります。

 

 

気持ちに余裕がなくなる日もあります。

 

 

それでも、ずっとそれだけでは苦しくなってしまいます。

 

 

だからこそ、日常の中に小さな「非日常」を作りたい。

 

 

それが、僕が考えている秋の小さな旅です。

 

 

秋の空気は、夏とは違います。

 

 

暑さが少しずつ和らぎ、空気が澄んできます。

 

 

山の木々も少しずつ色を変えていくでしょう。

 

 

僕は普段、「遠足」と称して電動カートで近所を走っています。

 

 

その時にも、季節の変化を感じます。

 

 

同じ道でも、春と夏と秋では景色が違います。

 

 

だから秋には、いつもの「遠足」とは違う、母との「遠足」

 

 

をしてみたい。

 

 

母と僕の二人で車に乗り、少しだけ遠くへ行く。

 

 

そして秋の景色を眺める。

 

 

それだけでいい。

 

 

帰ってきてから、

 

 

「今日は良かったね」

 

 

と母が言ってくれたら、それだけで僕は嬉しいと思います。

 

 

弟にも、そんな母との時間を持ってもらえたらいいのかもし

 

 

れません。

 

 

でも、今はまず僕と母の二人でいい。

 

 

毎日一緒に生きている僕だからこそ、母の体調を見ながら

 

 

無理のない範囲で連れて行ってあげたい。

 

 

そして弟には、これまで通り日曜日に来てもらい、畑を手伝

 

 

ってもらえれば、それだけで十分ありがたいことです。

 

 

僕たち兄弟が、それぞれ出来ることをする。

 

 

それで母を支えていけばいい。

 

 

僕はそう思っています。

 

 

病院ばかりの毎日。

 

 

薬ばかりの毎日。

 

 

介護ばかりの毎日。

 

 

確かに、そんな生活をしていると、

 

 

「こんな人生は余りにも悲しいな」と思うことがあります。

 

 

でも、人生の全てが病院で終わるわけではありません。

 

 

たった一日でも、楽しい日があればいい。

 

 

たった数時間でも、笑える時間があればいい。

 

 

母と一緒に見た秋の景色が、後になって僕の心に残るかも

 

 

しれない。

 

 

母にとっても、そうであってほしいと思います。

 

 

いつか母がいなくなった時、

 

 

「あの時、一緒に秋の景色を見に行ったな」

 

 

と思い出せるような時間を作っておきたい。

 

 

そして母にも、

 

 

「息子と一緒に出掛けたな」

 

 

と思ってもらえたら嬉しい。

 

 

だから秋になったら出掛けます。

 

 

遠くなくていい。

 

 

長時間でなくていい。

 

 

無理もしない。

 

 

母の体調と相談しながら、僕自身の身体とも相談しながら、

 

 

二人で行けるところへ行ってみようと思います。

 

 

病院へ行くことも大切。

 

 

薬を飲むことも大切。

 

 

身体を休めることも大切。

 

 

でも、それだけではなく、季節を感じることも大切です。

 

 

秋の清々しい空気を吸って、母と一緒に景色を眺める。

 

 

それだけで、いつもの一日が少し特別な一日になるかもしれ

 

 

ません。

 

 

僕には弟がいます。

 

 

毎週来てくれる弟に感謝しています。

 

 

そして、毎日一緒に暮らしている母にも感謝しています。

 

 

母と弟と僕。

 

 

それぞれが出来ることをしながら、これからも何とかやって

 

 

いきたい。

 

 

そして秋になったら、母を車に乗せて小さな旅へ。

 

 

それを一つの楽しみにして、これからの毎日を過ごしてい

 

 

うと思います。

 

 

秋よ、早く来てほしい。

 

 

母と僕が、病院でも家事でも介護でもない、ほんの少し自由

 

 

な時間を過ごせる日を楽しみにしています。

 

 

遠くへ行かなくてもいい。

 

 

大きな思い出でなくてもいい。

 

 

母と僕が一緒に見た秋の景色。

 

 

それだけで、きっと十分なのです

 

 

 

 

 

 

 

 

May be the best year of my life.