アラブ人と伊勢神宮に行ったら・・・  | 人差し指のブログ

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本を読んで面白かったところを紹介します

『 人間の目利き アラブから学ぶ「人生の読み手」 になる方法 』

曽野綾子 ( その・あやこ 1931~ )

吉村作治 ( よしむら・さくじ 1943~ )

株式会社講談社 2014年12月発行・より

 

 

 

 

 

曽野 天国には、広々とした木陰と、清水が流れる川やこんこんと湧き出

    る泉があって、食べることを禁じられることもない。

 

 

吉村 砂漠の生活は過酷でしょう。 物資もないし、焼けつくような太陽の

    日射しをよける木陰すらない。

 

 

    だから生前つらい思いをした分だけあの世へ行って かなえられると

    いう理想郷をつくって、現世の苦しさを我慢させたわけです。

 

 

    それに天国には、男にとっては美女が いっぱい、女にとっては美男

    が いっぱい いる。

 

 

曽野 『コーラン』 に書いてあります。

 

(略)

 

 

曽野 私が日本財団で働いていたころ、イラクから女性教師のグループを

    日本に招いたことが あったんですね。

 

 

    イラク南部のサマワという町に自衛隊が派遣されていたころでした。

 

 

    サマワの小学校の先生たちに日本を見てもらって、日本に好意を

    持ってくれる家族がいくつかできれば、サマワで何か不穏なことが

    起きたときに自衛隊に通報してくれるかもしれない、と思ったの。

 

    実際、ああいう地域では そういうことも あり得るんですね。

 

 

    学校や工場、ほかにも男女が同じように働いているところを見せて、

    最後に伊勢神宮と京都にお連れした。

 

 

    伊勢の神宮は、日本人のひとつの魂のあり方だから、ぜひお見せ

    したくて。

 

 

    女性教師もそうですが、つきそいの男性の中にはムハンマドの直系

    の後継者だという宗教指導者もいらしたので、アッラー以外には頭

    を下げません、と言われたら どうしようか と心配していました。

 

 

    ところが、神宮の関係者がものすごく親切に迎えてくださって、

    お神楽を特別にあげてくださったりしたせいか、外宮(げくう)の拝殿で

    私たちと同じように柏手を打って拝まれたんですよ。

 

 

吉村 ほう、それはめずらしい !

 

 

曽野 多神教の神を拝まれたわけですからね。

 

 

    私は友好からがすべての信仰を超えるとは絶対に言いませんけ

    ど、そういう瞬間もあるんです。

 

 

    なかでも彼らがいちばん喜んだのは、五十鈴(いすず)川のほとりでし

    た。

 

五十鈴川~神路山を源流とし、支流島路川と合流、皇大神宮伊勢神宮内宮)の西端を流れており、御手洗場(みたらしば)が作られている。この御手洗場では、かつては手洗いだけではなく、口濯ぎまで行われた。

                                      ~wikipedia

 

    尽きることのない清流、まわりに連なる緑したたる森。

 

    彼らは、「アラブの大義」 のために聖戦に参加して死んだら行ける

    と アルカイダ たちが言っていた天国を、この世で見たのだと思いま

    す。

 

アルカイダは、イスラム主義を掲げるスンナ派ムスリムを主体とした国際テロ組織。ソ連・アフガン戦争中の1988年、ソ連軍への抵抗運動に参加していたウサーマ・ビン・ラーディンとその同志らによって結成された。1990年代以降、2001年アメリカ同時多発テロ事件1998年アメリカ大使館爆破事件等、アメリカを標的とした数々のテロを実行した。  

                                     ~  wikipedia

 

吉村 なるほど。

 

 

曽野 余談になりますが、実は、この企画は当初 反対されたんです。

 

 

    サマワにはマスコミなんてないのに、そんな人たちを呼んだって

    効果はないんじゃないか、って言われたの。

 

 

    でもアラブの女性たちのおしゃべりのすごさをご存知ないんですね。

 

 

    日本に行ったとなったら、家族はもちろん親戚という親戚にしゃべっ

    て、しゃべって、しゃべって、そのいとこたちが またしゃべって、

    おそらくサマワ中に行き渡る。

 

 

吉村 よくしてあげれば、あっという間に広まります。

    女の人のおしゃべりは通信網ですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        猿沢池付近  11月24日撮影