中国は外国を利用する  | 人差し指のブログ

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「 対話 起源論 」

岸田秀 (きしだ・しゅう 1933) ほか

株式会社新書館 1998年7月発行より

 

歴史の起源 岡田英弘 おかだ・ひでひろ 1931~2017)

 

 

 

 

岡田 中国は権力がめまぐるしく変転する。

 

 

    生き残るために何をするか。  外国を利用するんです。

 

 

    それで、自分の邪魔者を失脚させる。

    だから、中国には外交政策がない。

 

 

    だいたい外交がない。アメリカが台湾の李登輝がくるのを認めたと

    いうので、北京は大いに怒ってみせているでしょう。

 

 

    あれは、アメリカに向って言っているのではない。

    そんなことは全然考えていない。

 

 

    考えているのは、この事態を利用して、米中関係を担当している

    仲間の足元をすくうことです。

 

 

岸田 日本の自閉的共同体と、論理は同じなんですね。

 

 

    日本軍でも参謀などは、敵に勝つことよりも軍内部での自分の立場

    を強くすることを考えていましたからね。

 

 

岡田 1996年の台湾海峡危機も、中国の人民解放軍の将軍たちが、

    軍事演習を打ち出すことによって、日中関係、米中関係を傷つけ

    て、江沢民総書記の足元をすくうことが目的だった。

 

 

    李登輝に圧力をかけることでも、台湾を祖国に復帰させるためでも

    なかった。

 

 

    そんなことは考えてもいない。

    中国人仲間を出しぬくことしか考えてない。

 

 

岸田 すると、ニューヨーク支局にいる日本の大新聞の記者とかと同じで

    すね。

 

 

    本社の人事のことしか考えていない。(笑)。

 

 

岡田 そうなります。いちばん典型的なのは、1982年の歴史教科書検定

    問題ですね。

 

 

    あれは、当時の趙紫陽首相の足元をすくって、鄧小平を困らせる

    ことが目的だった。

 

 

    「解放軍報」 に大論文が載ったので、すぐにわかりました。

 

 

    だから、日本の文部省が何をしようとそんなことは関係がない。

 

 

歴史の起源 (初出 「官僚病の世界史」) 「大航海」 第十六号 1997年6月

 

 

 

 

                         1月27日の猿沢池付近