中国人の屈辱と中華思想  | 人差し指のブログ

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「 中国人の思想構造 」

邱永漢 ( きゅう・えいかん 1924~2012 )

中央公論社 1997年12月発行・より

 

 

 

 

 

 中国人の心の中には他の国の人々には想像もつかないような中国人としてのプライドが根強く生き続けている。

 

 

他民族に支配されたり、科学や技術の分野で欧米諸国の後塵を拝するようになった事実は認めないわけではないが、まだロンドンやパリが泥んこの田舎町だった頃に長安の都はすでに舗装道路を馬車が走っていたという文明の歴史を生きてきたという自負心がある。

 

 

そうしたプライドで裏打ちされたのが中華思想と言ってよいだろう。

 

 

そういう中国人から見ると、自分らのまわりは みんな野蛮国であり、野蛮国が近年、にわかに成り上がってきた だけにすぎない。

 

 

 そうした成り上がりの野蛮国に支配を受けることがあったとしても、やがてそれらの異民族を同化できるだけの文明を中国は持っているし、歴史がくりかえし証明しているように、いつか必ず主権を奪回する日がくる。

 

 

屈辱の中にあってもそういうプライドを持ち続けてきたために、それが中国の近代化のブレーキになったと見ることもできる。

 

 

 

 

 

 

                            1月27日の猿沢池付近