米中首脳会談と中国の報道   | 人差し指のブログ

人差し指のブログ

パソコンが苦手な年金生活者です
本を読んで面白かったところを紹介します

「 日本人だけがなぜ日本の凄さに気づかないのか 」

ケント・ギルバート ( Kent Sidney Gilbert 1952~)

石平 (せき・へい 1962~)

株式会社徳間書店 2017年8月発行・より

 

 

 

 

 石平 中国には 「無官不貧」 (腐敗しない官僚はいない) という言葉

     があるように、共産党幹部で腐敗していない人は誰もいません。

 

     これは中国の伝統文化でもあるのです。

 

 

     もともと歴史的に賄賂社会ですから、毛沢東時代にはこの賄賂社

     会が一時的に休止していた。

 

     貧しかったので、贈る賄賂もなかったからです。

 

 

      しかし、改革開放以後に腐敗が蔓延(まんえん)するようになり、

     政権に対する国民の不平・不満が高まると、逆に中華主義、ナショ

     ナリズムというものを強くもちだして、対外的に強い中国を演じて

     見せるようになりました。

 

 

 

      日本にもアメリカにも上から見下ろすような態度を取って、強い

     共産党のもとで中国が屈辱を晴らしていることをアピールするわけ

     です。

 

 

      それは日本やアメリカに見せつけるというよりも、国民に見せる

     ためのものです。

 

 

     腐敗社会だからナショナリズムをわざと高揚させる、という側面も

     あるのですね。

 

 

ケント 国内政治対策ですね。 

     そういう意味では、韓国と少し似ていますよね。

 

 

 石平 たとえば、アメリカの大統領と習近平主席の会談翌日の 「人民日

     報」 の記事を読むと、出だしから4分の3くらいまで、習近平の

     発言で埋めつくされます。

 

 

     そして、最後の1行でアメリカ大統領がそれに対して答える、といっ

     た構成です。

 

 

      その文面は、まるでアメリカ大統領が小学生で、徳の高い習近

     平に指導してもらっていつような印象になります。

 

 

     オバマにしても、トランプにしても、「恭(うやうや)しく習近平主席から

     教えてもらった」 という調子で書かれるのです。

     それが中国なのです。 

 

 

ケント なるほど、そういうことにするのですね。

 

 

     ところで、中国のメディアは、すべて政府の管理下にあるわけです

     よね。

     そうすると、メディアは自由な発言はできない。

 

 

     政府と異なる意見の人はインターネット上に書き込むことになるの

     でしょうが、どれくらい自由が認められているのでしょうか。

 

 

 石平 胡錦濤政権時代まで、インターネットではかなり自由にいろいろな

     批判ができました。

 

 

     しかし、習近平政権になったいま、徹底的に取り締まられていま

     す。

 

 

     現在は技術が発達していて、インターネットで政府を批判する人が

     いると、すぐ誰が書いたか特定できますから、翌日には、警察が

     家まで取り調べにきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             1月27日の猿沢池付近