~ 二人が テリー伊藤著 『お笑い大蔵省極秘情報』 について話しています。 ~
「 日本人の敵 」
渡部昇一 (わたなべ しょういち 1930~2017)
テリー伊藤 (てりー いとう 1949~)
PHP研究所 1999年4月発行・より
テリー 大蔵省そのものが日本のトップどころか、世界のトップですから
ね。
渡部 検察庁だって大蔵省が予算をつけてやってるんだ。
俺たちを縛れるわけがないとか。
法務省の予算で動いている検察庁を締めるのは簡単だとか、
驕(おご)り昂(たか)ぶって言ったんだね。 あれが大きいわ。
テリー 大蔵省がどんどん法務省に予算を渡したから、あの日本以外には
ない、法務省のハイテクの新ビルが完成した、というわけですよ。
渡部 ああ書かれちゃ検察庁だって、なにを、ってなことにならざるを得
ないですね。
ただ、よく分かっている官僚もいるんですよ。
私は大蔵省の税制調査会委員をやっていたころ、当時の主税局
長に、こういうことをプライベートに聞いたのです。
僕が若いころ通訳していたフレデリック・ハイエク教授は、後に
ノーベル経済学賞をもらいましたが、この人は 「所得税は、フラッ
トなら最高一割前後でいい筈だ」 と常にいってました。
そこで、「税務当局のお考えはいかがですか?」 とたずねると、
アーとかウーとかスーもなしに 「いや、皆さんから徴収させていた
だけるならば、10%は要りません。7%フラットで結構です」 と、
ズバリと答えた。
7%でいいと言うんですね。
考えてみると、テリーさんも僕も、所得税65%、払ってるでしょ?
テリー ええ、まあ・・・・・。
渡部 それでいて日本の所得税収入は年間20兆円足らず、なぜ、20兆
円たらずなのかというと、税金を払わない人たちが多すぎるという
ことです。
98年は年収約400万円以下の人たちがそうです。
国民総生産はいま約500兆円ですから、一割フラットといえば、
ざっと50兆円は入るなずなんです。
7%でも35兆円だから万々歳なんですね。
これを大蔵省の主税局長が一瞬のためらいもなくパッと答えたこと
に僕は感心しました。
税制調査会と僕は一寸した関係しかないんだけど、税金の制度
としては社会主義的であるという実感を持ちました。
あるとき 「いまの税制には資産再配分思想があるんじゃない
か」 と質問したんです。
そうしたら、前の委員長ですが、黙っちゃったんですよ。
そのまま何分も経って、待ちきれなくなったころに、「その思想はあ
ると思います」 と答えたんです。
「その思想は憲法違反ですね?国民の私有財産は憲法二十九条
に保障されて 『財産権は、これを侵してはならない』 と書いてあ
ります。
『侵してはならない』 と書いてあるのに資産再配分というのは、
政府がガッと取って、死ぬとバーっと分けることですよ」 と。
その一言だと思うんですが、僕はそれっきり税制調査会委員を
お払い箱になった。
鈴木孝夫が或る審議会で政府の悪口を言ったら 「勲章が貰えなくなりますが」 と言われたそうです。2016年3月19日に 「私が勲章を貰えない理由」 と題して紹介しました。コチラです。 ↓
https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12138004802.html?frm=theme
4月14日の興福寺