「 高山正之が斬る 朝日新聞の魂胆を見破る法 」
高山正之 (たかやま まさゆき 1942~)
株式会社 テーミス 2018年6月発行・より
ニューヨーク・タイムズの経済記者ジェリー・クレスウェルがバブル期の
日本は 「酷かった」 と書いていた。
「ずかずか上がり込んできて、米市民の心の故郷みたいなロックフェラーセンターから西海岸の超名門ベブルビーチまで買い漁っていった」
(略)
クレスウェルがいうベブルビーチも同じ。
コスモワールドの熊取谷(いすたに)稔に市価の倍の8億4千万ドルで売りつけたのは20世紀フォックスの元会長・マービン・デービスだった。
法外な値段だったが、熊取谷には皮算用があった。
当時、日本では官僚接待はノーパンしゃぶしゃぶ、民間はゴルフ接待が形だった。
上得意をあのベブルビーチでプレーさせれば、もう商談は成立したようなものだ。
彼は日本企業向けに1億円の法人会員権を考えていた。
併せてゴルフ場に近い海岸線をリゾート開発し、売る。
8億ドルの投資は5年ももたずに償還できるとおもった。
しかし相手は米国人だ。
契約成って熊取谷が欠陥だらけだったコースを理想的に造りなおすのを待ってマービンがいった。
「いい忘れたが、ここは地元コミュニティのものだ。それ以外の例えば外国企業が会員権を持つのは認めない」
「周辺の海岸線は風致委員会が管理し日本企業の開発だけは禁じているそうだ」
地元の人がプレーする代金だけが収入では借金は返せない。
熊取谷の会社はベブルビーチをを買った翌’91年、破産宣告した。
ゴルフ場はマービンの お知り合い企業が安値で買い戻した。
もっと悲惨だったのは水野健か。
茨城カントリーで5万人に会員権を乱売して掻き集めた数百億円を懐にラスベガスに飛んだ。
カジノホテルを買い取り、ラスベガスのセレブになるのが夢だった。
それならと米国人は 「カジノ経営の認可がほしければまず地元名士になることだ」と病院や大学に何億も寄付させた。
さらに企業実績も必要だと市価の3倍の6千万ドルでインディアンウエルズ CC を買わせたが、カジノ経営認可はいつまでたっても下りない。
それも当然でネバダ賭博管理委員会はもともと 「日本人には認めない」 方針だった。
その間に茨城カントリーの乱売が問題になる。
すると頼みもしないのに米税関当局や検事局が動きだし、水野のもつゴルフ場やレストランを資金洗浄の疑いで差し押さえ、さっさと競売に付した。
ゴルフ場は水野の買値の3分の1で叩き売られ、検事局など関係機関が落札価格の25パーセントを手数料として取り、経費も引き落とし、少し残った額を日本に返した。
戻ってきたのは水野が米国で使わされた総額の数パーセントにもならなかった。
2月4日の奈良公園