母親の誤読「子供の英語教育」 | 人差し指のブログ

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「 日本文化を問いなおす 渡部昇一対談集 」

渡部昇一 (わたなべ・しょういち 1930~2017)

株式会社講談社 1976年7月発行・より

        英語のこと教育のこと     中津燎子 / 渡部昇一   

 

 

 

渡部   『何で英語やるの?』 が評判になったでしょう。

 

      最初、ははァ、ちっちゃいときから英語やれというおばさんが、

      またひとり出てきたかと。(笑)

 

 

中津   そうでしょうね。

 

 

渡部   そう思って読んでみたら、ひじょうにまともというかな、ぼくを

      まともだとすればですがね。(笑)

 

      なるほどこの人はよくわかっているわいと感心しました。

 

      ところが、案外みんな わかってないんですよ。

 

      幼児教育の主張だと思ったとか。

 

             通読してもそう思っているんだな。

 

 

 

中津   そうなんです。それが猛烈に多いのよ。

 

      私、泣いても泣ききれないんですね。

 

      私は幼児の英語教育というの反対なんです。

 

      幼児の人間形成に言語は欠くべからざるものであるから、母国

      語でやるべきだというのが、私の一貫性のある主張なんですね。

 

 

渡部   あれはおかしいね。題から考えてみてもね 

      『何で英語やるの?』 って、あれ疑問文ですよ。

 

 

中津   それがねぇ、全部読みました、わかりました、共鳴します、で、

      うちの子供に教えてください。

 

      いくつ?四つ、ですものね。はじめは私の書き方拙劣(せつれ

         つ)だから意味を取っていただけない、と思ったわけですよ。

 

      このごろは猛烈に腹を立てましてね。

 

 

渡部   本を読むということは、ある意味ではわがままを捨てなきゃだめ

      なんですよね。

 

      相手の言うことに最後までつき合うということ。

 

      ところが、戦後は変に個性を重んずるとか、自分の考えを持てと

      かいってね、本を読みながら本なんて読みはしないです。

 

      自分の考えに合ったところをチラチラ拾うと、けっきょく何を読ん

      だかわからなくなっちゃう。

 

 

中津   それは女子供に多いですね。

 

 

渡部   戦後、女はわがままになりましたからね。(笑)

 

      簡単に戦前を理想化するわけにはいきませんけれども、

      戦前はまあ教育の根本が言葉であるぐらいは、みんなの常識と

      してあったですね。

        (英語教育はこうすべきだ 「婦人公論」 1975年10月号)

 

 

 

 

                   新幹線から見た富士山 1月21日撮影