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本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

「 日本文化を問いなおす  渡部昇一対談集 」

渡部昇一(わたなべ・しょういち 1930~2017)

株式会社 講談社 1976年7月発行・より

「教育」からの開放         川上源太郎 ・ 志水速雄 ・ 渡部昇一

 

 

 

川上   テレビの教育番組でも能力問題はタブーなんですよね。

 

 

      先日、最近の一流大学の学生には裕福な家庭の子弟が多いと

      いう事実が紹介された。

 

 

      それを女性評論家が評して、結局カネをかければバカもリコウに

      なるんだって・・・・。

 

 

      だから貧乏人は損だというわけです。

 

      これはひじょうに俗受けするんですよね。

 

 

      ぼくは冗談じゃない、今日は精神労働、頭脳労働の社会で、

      その高い位置を占める父親はもともと頭がいい。

 

 

      そこに比較的頭のよい嫁さんがくるから、頭のいい子が生まれ

      育つ可能性が強い。

 

 

      ついでに、そのような父親は比較的収入が高いから、一流の大

      学生は裕福であるという結果になるんで、カネさえかければバカ

      がリコウになるという説の証明にはならん、といったんですが、

      放映をみたらなんと百パーセント、カット。(笑)

 

 

渡部   だから偽善の世の中なんだ。

 

 

志水   優生学というのがありますね、頭脳や能力の遺伝をかなり問題

      にするやつ。

 

 

川上   優生学イコール、ナチだよ。 タブーですよ。

 

 

志水   ハックスレーの 『素晴らしき世界』 にも出てきますが、ユートピ

      アということを考えると、かならず人間の質が問題になりますね。

 

 

      要するに優生学を問題にせざるをえない。

 

 

      ところが日本ではユートピアをいう人はいるが、人間の質をいか

      にして変えるかはこれまたタブーでね。

 

 

      日本では稲などの植物などの品種改良などはひじょうに熱心だ

      が、家畜など動物についてはあまり関心がない。

 

 

      まして人の能力、IQ (知能指数)の本質的な差を認めるのに

      たいへんな抵抗を示す。

 

 

      一種の惡平等主義というか・・・・。

 

 

川上   バカがリコウになるような幻想の旗をふるのがいちばんもうか

      る

 

 

      戦後の教育を崩したいくつかの要因は、やはり左翼の思想家と

      民主主義者、もうひとつは心理学じゃないかと思うんです。

 

 

      ぼくはバカはリコウにならないと NHK で言って、殺すぞと言わ

      れたんだけど・・・・・。(笑)

 

 

志水   (森の)石松も昔言ってるよ。(笑)

 

 

渡部   (略) そう言わないことが正義だと思う人がいて、

      それに偽善者がそうだそうだという。

 

 

川上   ある中学の女教師がバカはリコウにならないということを、何度

      生徒に言おうとしたかわからない。

 

 

      しかし、子供の顔を見、親の顔を思い浮かべると何としても言え

      ないが、自分の能力に幻想を抱かせたまま子供を社会に出すこ

      とが、果たして親切な人間かどうか、思い悩んで眠れない夜もあ

      ると言うんです。

 

 

      外国の小学校などでは教師が生徒に、君はバカだよ、とはっきり

      言うそうです。

      しかし子供はくじけない。

 

 

      人間の能力は学力だけでは評価できないことを、教師も生徒も

      わかっているからだと彼女は言うわけです。

 

 

      そしてその能力に応じたいろんな教育の体制も整っているんで

      すね。

                              「正論」 1975年4月号

 

 

 

 

 

11月11日   中央公園(埼玉・朝霞)にて撮影