野蛮人と文明人の差   | 人差し指のブログ

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『 「宗教とオカルト」 の時代を生きる智恵 』

谷沢永一(たにざわ えいいち) / 渡部昇一(わたなべ しょういち)

PHP研究所 2003年7月発行・より

 

 

 

谷沢   ウォレスというのは本当に進化論をつくった博物学者ですね。

 

      進化論というとダーウィンのイメージが一般的ですが、ウォレス

      のほうが先に考えていた。

 

      (略)

 

渡部   彼はニューギニアとオーストラリアの間ぐらいにあるアルー群島

      に行き、きわめて野蛮とされている人たちと接しました。

 

 

      そこは周辺から人が集まって商売をやって帰っていく場所でり、

      誰かが支配しているところではない。

 

 

      しかし、そこで犯罪が起こらない。ウォレスが滞在中、たった一つ

      ペンか何かを盗まれましたが、犯人はちゃんと捕まって、罰せら

      れています。

 

 

      だから、文明人と野蛮人は、道徳に関しては差がない。

 

 

      むしろ当時野蛮人と言われていた人たちのほうが道徳性が高

      い。

 

 

      こういうところから論を展開して、脳は早い段階で進化に関係なく

      完成したというのが彼の得た結論でした。

 

      (略)

 

渡部   さらには、野蛮人と言われた人たちに高い教育を与えると文明

      人と変わりがないということも一つの傍証になるでしょう。

 

 

 

      大東亜戦争後は、人種的偏見が大幅に消えて、それまで野蛮人

      と言われる人にも教育を与えることが始まりました。

 

 

      たとえば、オーストラリアのアボリジニは人類の中でも幼稚で、数

      を数えるのに 「1,2,3,たくさん」 という民族だと言われてい

      ました。

 

 

      ところが、アボリジニの子供を教養ある牧師の家で育てたとこ

      ろ、成績が良く、ハーバード大学に留学したら全科目で A を取

      った。

 

 

      それから、アフリカのジャングルでカトリックの宣教師が黒人の子

      供を教育してみたら、最終的にローマの大学に行って最優等生

      になったというようなケースが出てきました。

 

 

      ということは、アボリジニもアフリカの深いジャングルの黒人も、

      脳は最高の学問をマスターするようにできているということです。

 

      (略)

 

渡部   脳の問題はダーウィンも気がついた時期がありました。

 

 

      イギリスの探検隊がアルゼンチンの突端あたりに住んでいるフェ

      イゴという野蛮人を数人捕まえて、ロンドンに連れて行きました。

 

 

      そして、数年間ロンドンに住まわせて、ビーグル号に乗せて帰し

      た。

 

      このときにダーウィンは同じ船に一緒に乗っていて、彼らを見て

      驚いた。

 

 

      フェイゴというのは陰部を隠すことも知らないような野蛮人、当時

      人類の知りうる限りでいちばん程度の低い民族であると言われ

      ていた。

 

 

      それが数年ロンドンにいただけで、ロンドンの最高のインテリ女

      性がやるような刺繍などをやったりする。

 

 

      頭の悪い者もいるけれども、イギリス人として使えるような者もい

      る。

 

 

      「これはどういうことか」 と怪しんだことが、ダーウィンの日記に

      記されています。

 

 

 

 

                      和光市内(埼玉)にて 2月11日撮影