「世界で一番他人(ひと)にやさしい国・日本」
マンリオ・カデロ/加瀬英明
祥伝社 2016年11月発行より
<マンリオ・カデロ> 東日本大震災直後に、日本サンマリノ友好協会の会長で、本書の共著者でもある加瀬英明氏と食事をとっていたときに、「日本のために、何かできることはないでしょうか」 と相談したところ、
「震災で亡くなった方を慰霊するために、サンマリノに神社を創建してはどうだろうか。日本の心を世界に知ってもらうことが、一番の慰霊になると思う」 というアドバイスをもらった。
そのうえで、サンマリノ神社建立実行委員会をつくって、いろいろな準備に取りかかったが、加瀬氏に委員長になってもらった。
(略)
二〇〇七年に、日本サンマリノ友好協会の
提案で、国立サンマリノ切手貨幣公社によって、日本とサンマリノの友好を記年する金貨が発行された。
サンマリノは、もともと記念切手や金貨によって有名な国である。
以前だが、日本郵便とサンマリノ郵政公社が共同で、友好切手を1500万枚販売して完売したことがある。
金貨は、初代天皇である神武(じんむ)天皇をあしらった、五スクード金貨(スクードは、サンマリノの昔の通貨単位で、1スクードは金3.2グラム強の値と同じ)と、神武天皇が即位された橿原(かしはら)神宮をあしらった、2スクード金貨の二枚セットである。
それぞれ裏面には、サンマリノの国章が刻まれている。
その売り上げを、神社建立の資金として充(あ)てることとなった。
神武天皇の肖像は、神社本庁が提供してくださった。
一部で、天皇の肖像を通貨に用いてはならないという声があったが、
麻生太郎(あそうたろう)外相(当時)と宮内庁長官から、差し支えないという承諾をもらった。
私は、麻生副総理のファンだ。世界の政治家のなかで、もっともエレガントだと思う。
(略)
神武天皇の金貨は、限定して五〇〇〇セットが発行されたが、短期間のうちに、全世界のコレクターによって完売した。
日本での販売価格は、一セット送料込で二十四万円だった。
4月15日 朝霞市内(埼玉)にて撮影