「世界は邪悪に満ちているだが、日本は・・・。」
日下公人(くさか きみんど)・高山正之(たかやま まさゆき)
ワック株式会社 2015年12月発行・より
<日下> 前から指摘してきたことですが、
中国には、きれいな水や空気がない。
もう現実に、「吸う空気もない、飲む水もない」
という状態に近くなっている。
だけど、彼らは平気だ。
日本人だったら、とても生きていられない環境の中で住んでいる。
衛生観念もまるでない。
ばい菌だらけ、害虫だらけで。
ウィルスが飛(と)び交(か)っている。
おそらくすでに大きな健康被害が出ていると思うけれど、
それは隠している。
いずれ隠しきれなくなって出てくると思いますよ。
表向きをきれいに飾っているだけなのに、
本当の姿を日本のマスコミは書かない。
たぶん、彼らは調べないから、知らないんじゃないかと思う。
宮崎正弘さんみたいに、歩き回っている人じゃないと書けない。
若手では福島香織さんもいるね。
女性だったり、会社に所属していない人だったり、
そういう人がいいものを描いている。
大新聞の特派員は、金ばっかり使って何も書かないでしょう(笑)。
よそから記事を買えばいいと思っている。
記事を買っていると、やがて自分が書けなくなる。
記事を審査する力もなくなる。
新聞社以外の人のきちんとしたルポルタージュを読んでいると、
日本人はもう中国からすっかり離れていることがわかる。
投資金額とか貿易金額の統計に出ているものとはまったく違って、
完全に中国から離れている。
これから十年くらいは日本人は中国に戻ってこないから、
中国はもう終わりですよ。
中国人は自分たちで第二幕、第三幕をつくれるんですかね。
<高山> 無理でしょうね。
<日下> 私が中国を歩き回って感じたことだけど、
彼らはみんな献上品をつくっている。
権力者に献上するものだけは一所懸命につくる。
権力者のために書く文章も一所懸命に書く。
それしかなくてね。
<高山> 昔からそれ以外にないですね。
<日下> 昔からないから、これからもないでしょうね。
海棠の花 光が丘公園(東京・練馬)にて4月12日撮影