「外国の思想戦」 対 「日本の漫画」 | 人差し指のブログ

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「教育の正体   国家戦略としての教育改革とは?」

日下公人(くさか きみんど 1930~)
KKベストセラーズ 2008年11月発行・より
 
 
 
終戦からそれほど経たないころ、わたしは東南アジアを旅行していた。
 
 
クアラルンプールで華僑の街の裏通りの古本屋に入ると、
英国の漫画本が山ほど積んであった。
 
 
ミャンマーの人に残虐なことをしている日本兵が出ていた。
 
 
 
そこへ颯爽たる英国軍兵士が登場して、片っ端から日本兵を撃ち殺して、村の人を助けるという漫画本だった。
 
 
 
英国兵は日本兵を見ると、「リトル・イエロー・モンキー」 あるいは 「ジャップ」 と叫んでいる。
 
 
 
将校までがそう言うとは品がない。 そして村の娘が感謝するという漫画本をたくさんつくって、ミャンマーやマレーシアで配った。
 
 
 
日本に負けて、英国人は植民地から追い出されたから、
威信を回復するためにそういう漫画本を大量に配ったらしい。
 
 
 
こういうのは思想戦であり、工作である。
 
 
日本人は、こちらから工作をすることは考えない。
だが、それで対等に戦えるのだろうか。
 
 
 
もしそれで負けるのなら、何かやらなければいけない。
少なくとも彼らはかつて日本に対していろいろな工作をした。
中国だけでなく、英国も米国もした。
 
 
ところが、日本は、庶民が楽しむ漫画やアニメを使って、海外の工作を覆してきた。
 
 
日本の漫画は今や世界中に発信されている。
その漫画で、日本式のかわいい女の子や優しい男の子の姿や心情を世界中の子どもたちに見せている。
 
 
 
それで育った子どもたちが、もう二十~三十歳になってきた。
 
 
つまり、その昔、「日本人はサルだ」 と思っていたような海外の人たちのマインドを、日本人は今、自らの手で覆している。
 
日本にはそういう底力があった。
 
 
 
昨年11月26日 光が丘公園(東京・練馬)にて撮影