「 『名将言行録』 乱世を生き抜く智恵」
谷沢永一・渡部昇一
PHP研究所 2002年4月発行・より
金は天下の回りもの
世のなかはうまいこと廻り持ちにできていて、
一方に根限り働いて資金(かね)を溜める人もあれば、
一方では、その蓄積(かね)を本人から恭(うやうや)しく差し出してくれるように、
さまざまな舞台装置が待っています。
宗教家、藝能人、相撲取り、稀には学者、これらが吸い上げ機構となって、
儲けた余剰(かね)が、働きの苦労をしない階層を廻ってゆく。
薬九層倍、坊主丸儲けの、特に肉寺と呼ばれる収入(みいり)のよい僧侶は、
その収納(かね)を祇園あたりで撒き散らします。
このような回転が滑らかに進行すると、景気がよくなる。
世の中は無駄金を使ってくれる人がたくさん おらないと困るのです。
ペンタスの花 8月1日 朝霞駅東口にて撮影